第111話 繋がる空間?
僕がエアの仲間の花の妖精たちが様子見に来てたっていう、ゆらゆらの場所へやってきたら、なんか、ちょっぴり周りと違う空気感が漂っていたんだ。
聞くところによると、このゆらゆらに何人かの、ていうか、それなりの数の花の妖精達が飛び込んだんだって。でもその中の3人だけが、僕のいた南の大陸の森の奥から飛び出した、みたいだ。
他の子達は・・・・どうやら次元の狭間に消えた、ってことみたいです。
言葉でなく、そんなイメージが妖精達から送られてきたよ。
じゃあ、なんで3人だけ来れたのか。
聞くとね、エアと僕の気配を感じた、そうです。
なんかわかんない空間の中で、エアと僕の気配が光ってたんだって。そっちへ飛ぶと、あそこにいた、なんて、3人でワイワイ言ってます。
『暗かった。』
『怖かった。』
『寂しかった。』
『『『でもね、暖かくて明るいところにダーちゃまたちがいた!!!』』』
口々にそう教えてくれました。
でもさ、大多数の妖精達は消えちゃったって・・・
『妖精は消えるの。エアはエアだからなかなか消えないけど、ダーちゃまがいたら元気だけど、妖精は消えるし産まれるの。それが自然だよ。』
『自然~』
『ははは、消えるね~。』
『
たくさんの仲間が消えたってことにちょっぴりナーバスになった僕に、エアが言って、それに妖精達も被せてくる。
どうも死とか、そういう概念がちょっと違うみたいで、僕が落ち込んじゃうことの方が、彼らを悲しませるみたいです。
だから、僕は、僕らを感じて飛び出したら、別の大陸にいた、ってことだけを知ってればいい、そんなようなことをグレンも言っちゃうんだもんなぁ。
それにしても・・・
僕は、ドクの魔力を込めた魔石をベルトにセットして、遠距離念話を開始したよ。
どうやらドクはスタンバイしててくれたみたい。
『無事ついたかのう。』
『うん。初めて来る感じの樹海の奥、なんだけど、そっちと同じみたいに空間がゆらゆらしてるんだ。そこに妖精たちは飛び込んだみたい。』
『ほぉ。うむ、なるほど・・・・確かにアレクの気配が感じるわい。ちょっと魔力を押さえるペンダントを外してみてくれんか。』
僕はちょっぴり人より魔力が多いから、力を押さえていても周りにじんわりと魔力が溢れちゃうんだよね。もちろんコントロールしようと修行はしてるけど、抑える力と、増加する魔力が釣り合うどころか、増加の魔力の方が多いようで、いつまでたっても、自力で抑えきるのは難しい。
魔力の垂れ流し、っていうと言い方が悪いけど、実際そういう状態で、それだと色々支障がある。ってことで、ドクが魔力を押さえる結界かつ、溢れた魔力を魔石にチャージする、そんなペンダントを会ってすぐに作ってくれたんだ。
といっても、そのペンダントはほぼほぼいたちごっこで役に立たなくなっちゃって、しょっちゅうバージョンアップしてもらってる。
ちなみにこの溢れた魔力をチャージしてる魔石は、ナッタジのいろんな魔導具の電池替わりに使用されてるから、無駄じゃない・・・はず。はぁ。
僕は、そんな、もう何代目になるか分かんない魔力を押さえるペンダントを外して、ポシェットに入れたよ。
エアやその仲間達が喜んで、わいわいと魔力を食べてる?のは無視して、遠距離念話に耳を傾ける。
『外したようじゃの。なんじゃ。また魔力が増えたかのぉ。どうやらラッセイでも感じられるようじゃぞ。やはりそこと繋がってる、ということかのう。』
そんなドクの声を聞いていたら、こっちからもドクの魔力を感じたよ。
『あ、ドクの魔力、感じる。』
『今、ちいっとだけ解放したからのぉ。魔力や気配が分かる、というのは、そっちと繋がっとる、ということじゃろ。』
『なんかたくさんの妖精が中に飛び込んだらしいけど、現れた3人は、たまたま僕やエアの魔力を感じて、そこに向かったんだって。』
『他はそっちに戻ったのかのぉ?』
『ううん。消えちゃったみたい。』
『ふうむ。完全に繋がってる、というわけではない、ということかのう。』
『ドク、そのまま魔力解放しててね。よいしょっと。って、ちょっ・・・グレン!』
ここに到着して、グレンから降り、ゆらゆらを調査してたんだけど、ドクの魔力がはっきりしてたから、僕は、それを目印にすれば、戻れるかもって思って1歩踏み出したんだ。
なのに・・・・
ブラーン・・・・
僕の足は地面から離れてブラブラです。
背後から襟首をグレンに咥えられ、宙づり状態。って、何やってるのさ、グレン。
『何、はこっちのセリフだ。今、この中に入ろうとしただろが!』
グレンが僕を咥えたまま、唸ります。
これ、知らない人が見たら、食べられそう、って見えるよ。離してよ!
『飛び込まないな?』
『う・・・・うん。』
『どうした。グレンの声かの?なんじゃ、その空間に飛び込もうとしたのか?グレン、よくやったのぉ。アレクは、もうちょっと考えるんじゃ。ほとんどの妖精が消えたってことは、アレクも狭間に捕らえられるかもしれんじゃろうが。』
『うっ・・・でもさ、ドクをしっかり感じられるよ。だったら・・・』
『消えた妖精達がアレクを感じられなかったとはかぎらんじゃろう。』
『それは・・・・まぁそうだけど・・・』
『まったく、グレンを付けて正解じゃのぉ。アレクよ。儂の魔力が感じられるなら、数を数えながら、1つずつ石つぶてを投げてみるんじゃ。』
『石つぶて?ストーンバレットでいい?』
『そうじゃのぉ。大人の拳ぐらいのかたまりを1つずつ、儂の方に向かって数を数えながら、じゃぞ。』
『うん、いくよ。1、2、3・・・・・』
僕は、ドクに言われたとおり、拳大の石つぶてを土魔法で打ち出しながら、数を数えたよ。
20ぐらいまで数えたら、ドクがもういいって。
『やはり、全部は来ておらんのぉ。かたまりが3つ、崩れた小石が4つ、じゃのぉ。』
向こうでみんなと話ながら、ドクが言ったよ。
全部は行かないし、到着した半分以上が壊れちゃった、ってこと?
僕、同じようなサイズの石つぶてを出したんだけど・・・・
『アレクよ。目標があっても、到着できず、到着してもバラバラになる、と言う可能性は高いのう。中に入るのは禁止じゃ。』
ゴクリ。
確かに、半分以上消滅、向こうに行ってもバラバラ、じゃ、怖くて使えないよね。
てか、グレン、文句言ってごめんなさい。僕、命拾いしたよ。
ビューン!!
そのとき、あらためて僕を咥えて、グレンが大きくジャンプした。
と、
ビヨヨーン、
ゆらゆらの中にある木の幹に、1本の棒が刺さって、激しく振動していたんだ。
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