第65話 討伐隊と合流
翌日。
グレンも入って、まさかの犯人捜しに進展か?ってことになったんだけどね。
朝早く、グレンにそのゲンヘを持ってた家に案内されて・・・
結論から言うと、領都ガッザーナの外れにあるとある屋敷、の、倉庫みたいな建物が、ゲンヘを飼っている場所、でした。
バルボイ領の領都ガッザーナ。領の北の端にあるって言ったと思うけど、その中心部は塀に囲まれていて、周囲には畑や放牧場があります。これは北、だけじゃなくて、周囲全部に塀からはちょっとした空間があって、森とは接していないようになっているんだ。なぜかっていえば、森は未だ未知の領域で魔物が巣くう場所だから。
そもそもが開拓のために集落を作るんだけどね、作るときは、人間の住処と魔物の住処の間に緩衝地帯として切り開いた場所を作ってるんだそうです。
ただ、古い開拓地だと、徐々に解明されて、未知の魔物の脅威ってのは減ってくるから、塀の外にもポツリポツリと家が建ってたり、住むためじゃなくてその辺りの働いている人のためのお店とかあったりするんだ。
そんな塀の外に、ちょっとしたお屋敷があったりするのは、とくに領都の北側以外の街道沿いには珍しくないんだそう。
なんでも、お手柄の人にはご褒美として爵位とか土地をあげる必要がある。けど、塀の中の土地は限りがあるでしょ?だから外に家を与えたりするんだって。
時には、塀の中と同じように緩衝地帯を作ったり、そもそも広く作った緩衝地帯内に、家を作らせたり、ってのが、ここいらのやり方。
それにね、ご褒美を貰うような人だ。それなりの強い人だから、塀の外での戦力っていうかな?治安維持も兼ねるようです。
で、グレンが連れてきた家も、領都の塀の外、緩衝地帯にあるお屋敷の1つでした。うんお屋敷。
てことは、どうやら、武勲でお屋敷をもらって貴族になった、的な人、ってことだね、ってみんなで話していました。
てことで・・・
ここは、調べる必要があり、ってことで、ミランダとナハト、それにグレンの報告を兼ねてドクが領都へと戻ることに。
なんかね、ゴーダン達は最前線を見学に行ってたんだけどね、アーチャが是非僕に見せたいものを見つけた、って言うんだ。
ついでに、ってわけで、せっかく南部まで来たんだから、冒険者の本分をやろうってことになりました。
本当は全員で行く予定だったんだけどね、新情報ゲットで、2つに分かれて調査班も残ることになったんです。
てことで・・・・
僕らは、ゴーダンたちが行ってたっていう、南部攻略の最前線へと向かいます。
途中、グレンと遭遇したっていうところを見て、グレンがゲンヘ部隊を屠ったところを見て、ってしました。
どうもね、グレンってばやっぱり足が速くって、ゲンヘ部隊がいたところってのは、随分森の奥深くでした。
道が作られてるのに、それを随分離れて行軍してたみたいだね。
ゴーダン達がそんな部隊を見たのは前日だったみたいで、そのときは道から一応見える場所、だけども、何故森の中?って気になって見たら、同じ顔だった、そうです。
僕らはリュックもあって荷物がほぼないし、連れてるシューバとお話しできるから、彼らが快適な環境で走れるってのもあって、部隊の進行よりも随分早く走れるんだ。
道を走ってるってのもあって、魔物との遭遇も少ない。ていうか、併走するグレンに怯えて、弱いのは近寄ってこない、っていうのもあるみたい。
で、なんだかんだで、前線部隊が10日はかけて行軍したであろう、その道を僕らは3日でたどり着きました。
なんかね、何人か僕にも見知った顔があったよ。
「突貫の遊戯」とかね。
聞くと、僕が社交で四苦八苦している間に、とっとと、討伐軍に合流してたみたいです。
一応、領都到着で、あとは自由ってことになったからね。官舎へ案内されると同時に討伐軍に参加したいってお世話係の人にお願いしたんだって。
そしたら、馬車を出してくれたから、南部出身者以外はみんな参加してる、らしいです。
どうやらライライさんもいるって話。
この部隊、騎士、兵士、冒険者、で、それぞれ行軍してるそうで、ライライさんは騎士の人達と一緒に行軍してる、って教えられました。
僕らがたどり着いた最後方は冒険者の集まりだったらしい。
ゴーダンがラッセイを連れて、さっさと前へ行ったけど、どうやら部隊の指揮官に話をしにいったってことだったんだね。知り合いがいるのを見て、僕らは彼らと一緒にいるようにって、行っちゃったんだ。
「殿下と、またお会いできて光栄です。」
会った早々、突貫のチャウさんが大きな声で言っちゃったから、ちょっとした騒ぎにはなったんだけどね。
「僕、冒険者としてここにいるから、殿下はやめて。」
ってお願いしたよ。
でも・・・って渋る突貫や養成所の人達だけど、僕も伊達に長く冒険者・・・の見習いをやってるわけじゃないんだよね。
「殿下って、なんだよ、ダーじゃねえか。」
「え?ダー?おねえちゃまが抱っこしますよ~」
等々。
何人か知った顔が出てきたよ。
抱っこ、させないよ?
もう、僕だって大きいんだからね!
南部、って未知の魔物が多いから、そういうのが大好きな冒険者は、なんだかんだで、ここに来てたりするようです。
しかも、超新人は地元じゃなけりゃ来ないからね、それなりに腕に自信がある人が来てる。Cランク以上、かな、見た感じ。
で、この国の冒険者ギルドはいくつか馴染みがあるし、そのぐらいのランクになれば、顔を知ってる人はそれなりにいるんだよね。
トレネー、ミモザ、ヨートローっていう3つの支部のどこかに所属してる人なら、ほぼほぼ僕を知ってるハズ。
こうやって考えると、僕もなかなかに顔が広くなったもんだよね。
まぁ、おかげで、この知らない場所でも、「殿下」って呼ばれた言い訳?しなくてもいいから、楽、だよね。って、そこ!誰がギルドの裏ボスだよ、トラウマ発生器って何?ちょっとそこのお姉さん、永遠の幼子ギルドの赤子って・・・僕、泣くよ?
はぁ。
口が悪いのは冒険者のあるあるだけど、知らない人に説明するの、もう少し真面目にやって欲しいです・・・
ほら、「突貫の遊戯」の人達とか、ちょっと引いてるじゃないか・・・
そんなこんなで、合流してしばらく彼らと行軍してると、ラッセイが戻ってきたよ。
どうやら、僕らは一度司令官殿とご挨拶しなきゃならないらしい。
一応、こんな僕でも本物の殿下、でもあるし、ってことのようで・・・
みんなに合流した後、グレンから降りてたけど、慌ててグレンの背中に乗った僕。
冒険者たちにはヒューヒューって見送られ、通った兵士さんたちには、ちょっぴり遠巻きにされ、騎士の人達には傅かれ・・・
はぁ。
なんか、生暖かい目で見てるゴーダンと、なんとなく興奮してそうな2人の男の人。その前までグレンに乗って行ったんだ。
ゴーダン含め、僕に簡易の王族に対する敬礼をするその人たちの前で、僕は座ってくれたグレンから飛び降りる。
「指揮官どのでしょうか。どうか顔を上げてください。王子としてではなく一冒険者見習いとして参加させていただくために来ました。顔をあげてください。」
顔を上げる、ってのは2回言わなきゃなんないんだよね。そうしないと、顔すら上げてくれない。
略式ってだけでも、ここは必要、らしいです。
ニヤニヤして顔を上げるゴーダン。
そして、なかなかに輝く笑顔を向けてくけた2人の男性。
「アレク殿下歓迎します。私はサイザム。サイザム・フォノペートと申します。此度の部隊の指揮官を承っております。どうぞよしなに。」
「同じく、ジュートロー・フォノペート。副官を承っております。」
「お二人は、辺境伯のご子息、ってやつだ。だがお互い、気軽に行こうや。な?」
ゴーダンが最後に言う。
僕らも、全員簡単な自己紹介をして、ゴーダンの一声で、僕らは遊撃部隊、ていううか、自由に動いて良いって事になったよ。
てことで、最後尾にいったん戻ろうか。
なんたって、僕のところに来たいってうずうずしているライライさんが騎士たちの中にいるからね。あの人は、いろんな意味で面倒だ。
てことで、冒険者たちのいるところへ戻った僕たち。
なんだけど・・・・
浮いている、よねぇ、あれ。
騎士の装いが2人に、従者って感じの1人。
冒険者たちとワイワイやっていたよ。
「遅かったですね、アレク様。」
ニコニコして迎えてくれたのは、クレイ、ディル、リークといった面々だったよ。
いったいどうしたの?
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