第11話 親戚も増えました
大商会のリッチアーダ邸。
なぜだか、ここにも僕のお部屋が用意されています。
えっとね、ひいおばあちゃん、つまりママのママのママが今この商会の会頭のお姉さんでニアっていうんだけどね。この人が冒険者のひいじいさんエッセルと恋に落ちて結婚して、ダンシュタにナッタジ商会を作ったんだ。そのときの会頭のザイガっていう人が、後見になってくれたみたい。
で、一番奥のお誕生席に近いところに座ってにこにこしているのが、ザイガさんのお嫁さんでノアおばあちゃん。うん健在です。ひいひいばあちゃん?たぶん80歳に近いお年だけど、せいぜい還暦ぐらいにしか見えないかな?あ、還暦ってのは前世知識だからこっちでは言わないけどね。正確なお年は知りません。いくつになっても女の人に年はきいちゃだめなんだって。仲間のミランダに厳しく指導されてます。
えっとね、お誕生席のところには椅子が2つあります。
1つは僕用、もう1つはトーマさんの孫にあたるセリオ用だと思う。
セリオは僕より2つ上。僕の入学に合わせて(?)正式に商人見習いとして修行に入るんだって。なんかね、商業ギルドの噛んでる養成校があって、そこで勉強することになったみたい。
彼と、その妹で僕と同い年のピーレと初めて会ったのは、7歳の時だったかな?
お父さんでトーマさんの息子のサンジさんとは、2歳頃にちらっと会ったことはあったみたい。向こうは僕のこと知ってたけど、僕の方はそれどころじゃなくて、全然知らなかったけどね。ちなみにその頃、サンジさん一家は、別のおうちで暮らしていたんだ。まぁ、新婚さんっていうか、そういう間は水入らずで暮らしたい、っていう若夫婦の希望もあって、別居していたみたいだね。
兄妹と会ったその時は、僕が皇太子様の息子になるってことが正式に決まって、そのための式典のために王都に来てたんだ。
でね、王都にいるならここに泊まりなさい、っていつもみたいに言われてて、みんなでお世話になってたんだけどね、それまで別居していた長男一家も、ちょうどその頃、このおうちで住むようになってたみたいで、そのとき初めて会って、親戚だよって紹介されたんだ。トーマさんたちはどうも僕が周りに大人ばっかりなのを気にしていて、同じ年頃の親戚の子だよって、僕たちのことを1つの部屋で遊ばせようとしたんだ。
ただね、そのときに問題発生。
セリオったら僕のことを女の子だと思ったみたい。
ピーレと同い年の親戚の子って言われたから勘違いしたのかな?
でね、その日のうちに、僕、男の子からプロポーズされちゃいました。
「僕、男の子だよ。」
「・・・嘘だ!」
そう言って、その時セリオったら何を考えたのか、僕に飛びかかってきてズボンを脱がそうとしたんだ。
ついつい、僕、そんなセリオを蹴り上げて、後ろ手に地面に拘束しちゃった。
ピーレはワンワン泣くし、セリオも涙いっぱいでビックリしたみたいになってるし・・・・
すぐに大人たちが飛び込んできて、僕はラッセイに拘束され、こっぴどく叱られちゃった。僕7歳、相手は素人の9歳。
自分の倍の年齢の子と戦えるように、って教育されてた僕は、成人してる新人冒険者パーティ相手なら簡単に制圧できる力があったからね、今考えると、やり過ぎた、かもしれない。
でもその時は、急に飛びかかられてビックリしたのもあるし、咄嗟に反撃したのは仕方ない、って思うんだ。
だから叱られたときも、ちょっぴり反抗したし、僕もセリオもお互いが大っ嫌いってなっちゃった。
代わりにピーレが、僕の強さに惚れたみたいで、こっちからもプロポーズされちゃったけどね、もちろん、お断りしたよ。だって、ピーレも僕のこと女の子だって、最初思ったんだもん。当然だよね。
とまぁ、そんな出会いから3年。
何かと、僕に突っかかってくるセリオと、纏わり付いてくるピーレ兄妹だけど、一応親戚だし、それなりに付き合っています。一緒に住んでるみたいなもんだしね。
なんかね、二人のお母さんのナマナさんはミランダと同い年なんだけど、なぜかミランダのことを「お姉様」なんて言って、ついて歩いてる。逆にヨシュアはお父さんのサンジさんよりも2こ上だけど、商売のことをいろいろ教えて貰う先輩として、丁寧に接してる。
まぁ、なんにせよ、もともとの仲間と、母方の親戚との仲は良好のようで、何よりです。
いろいろあって、ナッタジ商会も、ここ王都に店を構えました。
結構な大きなお店で、上は住居になってるからね、そっちに住む気まんまんだったんだよ、僕たちは。
けど、半分泣き落としみたいに、王都にいるときは、宵の明星に所属する仲間は、ここに泊まるってことになっちゃいました。
ナッタジ商会の上は、だから、従業員さんの寮みたいになってます。
ま、そんな感じで、なぜか僕たち二人の入学お祝いの晩餐が今日、開かれるようです。
リッチアーダ商会側としては、ノアばあちゃんを筆頭に、トーマさんと奥さんのメヌマさん。長男のサンジさんとその一家。そして、久々に会った次男のルーカスさん。
宵の明星側からの参加予定者は、ママ、パパ(って言うのはちょっと恥ずかしいけど)、弟、ゴーダン、アンナ、ミランダ、ラッセイ、バンミにバフマ。あとはナザが来てる。ナザってのは、僕と一番仲よしの今はラッセイの見習いやってる、元奴隷仲間。えっと、半分だけ血が繋がってるお兄ちゃん、かな?ハハハ・・・(思いたくないけど)父が同じ、たぶん。
他にも仲間はいるけどね、今日は不参加。ちなみにあと一人王都には、います。多分、王様に捕まってると思う、ハハハ。
あのね、王様は昨日の皇太子家での晩餐に参加したかったみたいなんだけどね、お仕事でだめって言われて、むくれてて、で、今日、僕がこっちでパーティって知ったら乗り込んできそうになっちゃったの。だから、魔導師養成校校長で、王様にとっても先生に当たる、うちのメンバーの通称ドクことワージッポ・グラノフ博士が、ご機嫌伺いに行っちゃいました。アハハハ。
僕らは早めに帰ってきたけどね、すでに探索組のゴーダンたちは帰ってました。
で、バンミたちったら、早速今日の出来事をみんなにチクって、じゃない、ご報告申し上げちゃったんだ。
でも、喧嘩じゃないもんね。
ラッセイの命令で、模擬戦しただけなんだもん。
空気を読まずに瞬殺して、とか、言わないでよ。あれって、仕方ないよね。剣使養成校ってそれなりに試験があって入って来るから見習い冒険者よりは強いって言ってたじゃない。びっくりするぐらい遅いし、フェイントの1つもなかったから、逆に警戒しちゃったんだって。
ゴーダンだけじゃなくて、ヨシュアやアンナも難しい顔してたから、そんな風に言い訳したら、そうじゃないって。
どうやらみんなが引っかかったのは違うところだったらしい。
うーん、なんだろう。
「ラッセイが帰ってきたら、詳細を聞くか。しかし、トレネーの貴族、ねぇ。ヨシュア、悪いが・・・」
「はい。確認してきます。」
パーティ前にちょっとバタバタはじめちゃった。
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