第4話 入学式、その後
合同の入学式みたいなのが終わって、自分の通う養成校へ向かった僕。
姉や僕を含め総勢9名が、この学び舎のすべてだそう。
無駄に広い校舎に呆れたけど、まさかこんなに人が少ないとは思ってなかったよ。
実は昔、この校舎に来たことがある。
あのときは僕とゴーダン、二人だったけどね。
守衛さんっていうのか、守備の騎士の人とか、他にも清掃やら販売やらその他諸々のスタッフみたいな人と会ったと思うんだよなぁ。生徒より確実に人数が多いね。
しばらくすると、担任って言うのかな?授業そのものは専業の講師がいるらしいんだけど、授業以外の指示をする先生っていうのがいて、その人がやってきました。
人数の多いところも、この担任みたいなのは入学時期の単位でつくだけらしいから、剣使なんかは100人ほどいるから大変だね。まぁ、すぐに人が減るらしいけど。
ただし、医療者と治世者は別。全体の人数が少ないから全校に1人ずつだって。
今期から、この治世者養成校の担任は替わるっていうことで、先輩たちもなんかそわそわしているよ。
先生が替わる原因は、例の事件。
前の担任が願い出て、パクサ兄様と一緒に、調査隊に入ったそうです。
「私の顔を知ってる者も多いと思う。今期からここの担任ををすることになったプジョー・リンナバル・レ・マジダシオ・タクテリアだ。社交のカリキュラムも受け持つことになってる。なぁに、ほんの2年前までは君たちと同じ立場だ。気楽に兄のように接してくれたまえ。と言っても実際私を本当の兄に持つ者が2人もいるようだけどね、フフフ。」
はぁ。
お察しの通りです。長兄がなぜかこんな形で乗り込んできました。
あの食事会での話、マジだったんだね。
ていうか、兄様の成人名初めて知ったよ。リンナバルって言うんだ。そっちで呼んだ方が良いのかな?
あ、そうそう。王家とか位の高い貴族の場合、名前が追加されたり、変わったりすることがあります。
王家の場合、幼名・成人名・レかミの尊称?っぽいの・マジダシオ・タクテリアって言うの。15歳の成人までは2つ目がないのが普通。でも親しい人はいつまでも幼名で呼んだりするみたいです。たとえば、僕の魔法の師でパーティメンバーの通称ドク。現国王の師匠でもあったとかで、「ティオ」っていう幼名で国王を呼ぶ
「どうした、アレク?困り事かな?遠慮せずに言ってごらん?」
こんなことを考えていたら急に振られたよ。ていうか、先生が生徒に絡まないで欲しいなぁ。
「いえ、たいしたことではないです。」
「たいしたことじゃなくても言ってごらん。ほら、君なら僕に緊張せず何でも言えるだろう?なんせ仲良し兄弟なんだから。僕に緊張しちゃっている教室のお友達に、私が怖くないよって教えるのも立派な上に立つ者の役目だよ。さ、ほら、言って言って。」
ハハハ。なんかグイグイ来るなぁ。兄弟って言っても、会った回数なんて両手で足りるんだけど、ハハハ。
「いえ、僕、じゃなかった、私は、兄様のことをなんて呼べばいいかなと思って。先生って呼ぶべきなのは分かるんですけど、やっぱりリンナバル先生でしょうか?」
「ほう、なるほど。いい質問だ。さすがは我が弟だね。いつもどおりプジョー兄様で構わないよ。恥ずかしいならプジョー先生で大丈夫。」
いや、なんで幼名?
「兄様は、親しいって事を強調したいんだと思うわ。」
姉様が、僕にささやいたよ。
僕と親しくっても、ねぇ。
「兄上、いえ、マジダシオ・タクテリア先生。公私の区別は付けるべきですわ。礼儀の先生が模範を示せずしていかがします。アレク、兄上のことはマジダシオ・タクテリア先生と、私のことはポリアお姉ちゃまと呼びなさい。」
ハハハハ・・・・
だから、姉様も兄様も、学校で何、睨み合ってるんですか。
登校初日の僕の立場も考えて欲しい、まったく。
結局、兄様とは初めましてのライライ、ホンレム、タッターといった留学生チームからの進言もあり、親しみを込めて兄様のことは全員がプジョー先生って呼ぶことになったよ。で、姉様のことはいつもどおりポリア姉様で!反論は聞きません。
そのあとは、皆で食堂に行って昼食を食べたよ。
食堂っていっても、そこはそれ、治世者養成校。
普通に高級レストラン。
給仕付のフルコース。
ゆっくり一人で食べるも良し。
仲の良い生徒と食べるも良し。
全員で食べるも良し。
好みに応じて仕える各種小部屋が用意されているようです。
ちなみに従者の人も一緒に食べても良いんだそうです。また、給仕を従者が変わるのもOKなんだって。毒味しつつ給仕なんていう従者も、特に留学生には少なくないって話。
一応ね、別に従者用の食堂もあるんだけどね。そっちは定食風なんだって。
僕はどっちかっていうと従者用の方が好みです。
僕ら生徒がそっちで食べるのはNGって、なんかずるいよね。
あ、そうそう。
各養成校には各々食堂があるんだって。
剣使と魔導師の養成校には複数あるって話です。
でね、養成校の生徒って、別の養成校で食べることができるんだって。
治世者養成校のこの食堂だけは、治世者養成校の生徒同伴に限り、だそうだけど、他の学校の食堂なら勝手に使ってOKだそう。時間的に余裕があるなら、僕は遠征して食べたいです。
遠征っていうとね、僕ら治世者養成校の授業は、遠征も多いんだって。
剣使とか魔導師の学校と合同授業がいっぱいあります。
その場合は僕らが移動するんだって。
一緒に戦うお稽古とかもするし、別の養成校の生徒を使って、動かす訓練もするんだって。
てことで・・・・
初日から、自分とこの校舎の見学を終えたら、他も行こう!なんていう、僕を案内してくれるツアーが食後に始まりました。
今日は、みんなで剣使養成校を見学だって。
これは僕だからっていう分けじゃなく定番行事だそう。
入りたての剣使養成校の生徒って、平民も多いから貴族なんて初めて接するって人も少なくないんだ。
で、そんな生徒たちに、上下関係をしっかり教えるっていう、まぁ、儀式みたいなもんなんだって。
今日入学した生徒に、在学生の中でも初心者クラスでウロウロしてる人達が混じって、入学式の午後からは、初訓練が行われます。
でね、その訓練にゾロゾロと僕ら治世者養成校の人間が現れます。
でね、それを見た在校生はもちろん貴族の子供たちなら、お作法に則った敬礼とかするらしい。
入学したての平民だって、それを見て真似する。
治世者養成校の生徒は、よく分かってない生徒がいることを理解した上で、貴族らしく振る舞いつつ、敬礼の練習相手になる、っていう・・・
なんか、そういう上下関係って暑苦しくって、僕は勘弁して欲しいのだけれども、僕も敬礼を受ける訓練だよ、なんて兄様に背中を押されちゃいました。
はぁ・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます