学園編3

 学校で式があった。留学に行く生徒達を見送りする為らしい。


 体育館にいる生徒は5400人程。教師は凡そ200人が集まっている。ここまでの数がいても大丈夫な位には、この体育館は大きい。


 今回留学する生徒は27人。各学年に3人ずつ。選ばれた生徒は、男と女が半々位。第1学年では男2人に女1人。……1人は自分にちょっかいをかけて来る同じクラスの男。もう1人は分からないが、何故か眼帯をしている。


 教師が何か話をしているが、聞いている生徒はほぼいない。皆んなステージに注目していた。


 代表の挨拶では、第9学年の男が演説した。話によると、第1学年からずっと首席らしい。


「本日は私達の為にこの様な素晴らしい会を開いて頂き、誠に有難うございます。私達は--」


 代表の挨拶が終わる。……ほぼ聞いていなかったが。式も終わり、魔術都市に行く為の馬車に乗る準備を始める。


 外を見ると、クラスの生徒達が自分の馬車を見ている。自分を馬鹿にしに来たのだろうか? 顔が見えない所為でよく分からない。何かを言ってはいるが、聞こえなかった事にする。反応の仕方が分からないから。


 --馬車が動き出す。クラスの生徒達も見えなくなった。


 いつもと変わらない退屈な日々が、またやって来るだろう。


 --その頃の自分には、魔術都市への希望どころか、日々の楽しみすら無かった。

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