学園編2

 退屈な日々が何日も続いた。……今日もまた退屈な日がやって来る。


 今日は大きな試合があるみたいだが、生憎自分には関係ない。--何をしても、結果は変わらないのだから。








 1回戦から手を抜いていたが、結局は自分が勝った。周りからの無数の--罪人を見ているかの様な恨みのこもった--視線。いつもの事。小さい事を気にしても無駄なだけだ。


 相手が自分を見ているが、目を向けない。


 --2回戦からも本気を出さずに終わった。


 そしていつものような視線。相手からも視線を感じる。どうしてか?分からない。だけどどうでもいいこと。

 









 自分では何度目かも分からない試合。だが長い事している事ならすぐに分かる。


 空がもう赤い。東の方角にはもう夜が訪れていた。


 次で最後。審判役からその声が聞こえた。


 最後の対戦相手は恐らくだが女。決勝まで来た生徒だ。きっと今までよりも強いだろうが……もう良いだろう、諦めよう。期待しちゃ駄目だ。後悔してしまうから。


 試合の合図。


 軽みのありそうな長剣、剣士だろうな。

沢山剣術を練習しただろう。人一倍努力をしたのだろう。だが--


 --結果が揺らぐことは無い。


 そごで自分は1つの"魔法"を放った。


 だが、その’’矢の形にした羽’’を飛ばすだけで、常人では目で追う事すら出来ない速さで対戦相手の剣に当たる。そして--


「あっ……」


 相手の剣が地面に突き刺さる。時が止まったかのような静寂だけが響く。


 試合終了の合図。


 自分はすぐに試合場から離れようとする。


「すごくいい試合だったよ!ありがとう!私は負けちゃったけど、その分まで留学先で頑張ってね!」


 ……笑っていた。普通は悔しがるはずだ。折角決勝まで来れたのに、全て無駄になってしまった。なのに……悔しがるよりも先に相手に良い試合だったと感謝を伝える。これは前にもあった。心の奥底から何かが湧き出て来る。その為だろうか。自分から喋ろうと思ったのは。……例えいい意味でないにしても。



「そう言うのいいよ」


「……えっ?」


「たがら、僕に感謝を伝えるのはいいよ」


「僕は別に、君に感謝されたくて勝ったんじゃない。ただ、魔法を放ったら思ったよりも弱くて勝てただけだから」


「--君、才能無いから。もう諦めれば?」


「……ぇ」


「じゃあ僕はもう行くけど、いくら頑張っても無駄になるだけだから」


「……」


 試合場を後にする。背後では女が泣いている。取り巻き達が女を励ましている。だが、半分は自分を睨んでいた。


 --気にはしないが。自分の思った事を言っただけだ。憎まれる筋合いは無い。あいつらが悪い。俺は正しい。


 そう考えて、寮の中に入って行った。

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