第76話 回想の終わり
最後に長くなった回想のまとめを述べる。
俺はいったい何者で、高橋とはどのような
俺は旅人である。
かつて幼少の頃に出会ったアイツを
『どこか。ここじゃない、どこか』
そんな想いを腹の中心に
続いて高橋との間柄だ。
今となっては
高橋は俺の帰るべき場所になってくれる女性であった。
彼女なくして、俺は一つところに留まることができない。
彼女が
以上が回想のまとめとなる。
だが最後に一つ、余談を付け加えてみる。
かつて、そんな高橋への想いを馴染みの誰かに告げたことがあった。「彼女は俺の港なのだ」と。ただの
「それってお前、
絶句した。
とにかく、そんなつもりで言ったんじゃないと否定の言葉を口にしようとした。だが、
俺が高橋を重石として捉えている。
確かにそれは
いや、そんなのは言い方の問題であり、言葉の
しかし、どうしても考えてしまう。
──もしかしたら俺は、高橋という錨から解き放たれたいのではないか?
考えてはいけないと思うことほど繰り返すのが人というもので、それはいわゆるカリギュラ効果というものだった。だから俺は
そんな風に自らに言い訳をする。
もし今。
高橋から別れを告げられて見限られたとしたら、俺はどうなってしまうのだろう。きっと同じ場所に立ち続けていないことだけは確かだった。
大洋をあてもなく漂流する幽霊船になってしまうに違いない。もしくは
彼女という錨が、俺には必要だった。
これをもって回想を終える。
俺が高橋をどのように想っているのかというのは、これで
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます