(4)(1)~(3)までを踏まえ大人を定義しなさい。

正二十角形的な本音

「親からの過度なプレッシャーをかけられて、弟比べられて。

お前は不出来ふできだって言われて。そんなこと分かってる。

私が一番分かってる。

私は失敗作で、何にもならない。

だから、せめて人の役に立とうって思って頑張っても、やっぱり無理で。

日に日に自分に絶望して、何ならできるだろうって思ってぐちゃぐちゃになって。」


「こんなのが大人ならもう嫌になる。」


 ベットに座りながら叫ぶように言う速水の姿は今まで見てきた速水の中でも一番納得できる姿だった。

 溜息なのか深呼吸なのか判断のつかないものをしてから彼女は続ける。

「はぁー。で?君はこんな私をどうしたいの?」

「どうもできない。」

 走ってるときに感じた胸を圧迫する感じがまた俺を襲う。今まで速水に取ってきた行動に後悔しかない。優しくすればよかった、とかいう安っぽい同情ではない。

 でもこの感情はどう言い表せばいいのかわからない。


「俺は……速水のことを馬鹿にしてた。」

「知ってる。」

「でも今は、尊敬してる。」

「そう。」

 お互いベットに腰を掛けながら、横並びで話す。

 どちらがとかは俺には判断できないけど……ベットに置いてあった手が重なる。お互いの体温を感じる。




 そこからは自然な流れで一線を超えた。

 その時のことはよく覚えてない。でも体に速水の体温が残ってる。

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