出席
昨日、病院で見た速水のことが忘れられない。
昨日、路地に入り込んでいく速水のことが忘れられない。
学校のうるさい速水のイメージには合わな過ぎたから。
電車の中で見た静かに遠くを見つめる速水のイメージに合い過ぎていたから。
気になりすぎて、忘れられなくて、じっとしてられなくて。いつもよりも一本早い電車に乗って学校へ行く。
その電車はとても空いていた。駅のホームは人が少なくて、いつもの駅と同じ駅なのか、とそんな馬鹿なことを真剣に考えてしまうくらいには印象が違った。
気が早ってしまって早く来たはいいけれど……俺はここでどうしよう。とりあえず自分の席で何もせずにいる。衝動的に行動しすぎて何もできなくなる。
……とりあえず昨日の速水の休んだ原因だけでも見てこよ、と思い席を立つ。この学校は朝の7時50分になるまで昨日のクラスごとの出欠が消されることはない。
今は早く来すぎて7時40分だから余裕で消されていないはず。
昨日は速水以外全員登校していたから、『欠席』『公欠』『出停』『忌引き』のどれかが一になっているはず……。
着いた出席を書く用のボードには『欠席者』『公欠』『出席停止者』『忌引き』どこを見ても『0』になっていた。
意味が分からない。0という言葉が書いてあるから『書き忘れ』なんて間抜けなことではない。そういう問題ではない。
『もしかしたら別教室で授業を受けていたのかもしれない』とりあえずそうやって納得するしかなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます