意外

 帰りの電車の中でイメージと違い静かに電車に乗っている速水を見て今まで俺から見えていた速水が全くイメージと違うことに驚いた…。

 ただ俺にとって速水は今までと変わらずに『子供っぽい』。

 でも周りに迷惑をかける最低なやつじゃないってことが分かった。


 そんな知る必要もなかった速水の意外な一面を見ながら『この次の駅で降りないとな…』そんなことを考える。

 普段はあと二つ奥の駅で降りるけど今日は用事がある。

 途中で花束を買って、お菓子も買ってそのまま病院に行かなければならない。

 速水はぼっーと窓の外のどこかを見ている。

 めんどくさくてわざわざ声をかけたくもないけれ どここまで一応、一緒に来たから気を使って声をかけてやる。

「速水、俺はこの次の駅で降りるから」

「え、?あっと…ごめん。ぼっーとしてた。もう一回言ってくれない?」

「だから…次の駅で降りるから!それだけ」

 聞いてなかったことにいら立ってしまって文末が強くなってしまった。


 何かを言おうとしている速水を無視して次の駅で開くドアの方に行く。

 いらだちが収まらなくて速水のことを無視し続ける。正直、理不尽だということは分かっている。

 こんなんで『大人だなんて』。つくづくこの世界は

 努力は大概たいがいむくわれないし、『まじめでいろ』なんてことを言う大人は大概不真面目に生きて、美味しい思いをしてる。

 そんな世界だからこそ俺みたいなのが『大人』なんだろうなって思う。

 他人を見捨てて、終わってから後悔して、心配するようなクズだから……。


 目の前にあるドアが開く。

 乗ってくる人の迷惑にならないように早々と電車から降りる。

 そして止まることなく、後ろを振り返ることもせずに改札の方に歩いていく。残された速水がどんな顔をしているか気になったけど……気にしない。

 駅の中にある花屋さんに寄って、店員さんに俺の妹が好きなピンク色を中心に花束を組んでもらう。 

 そのあとは同じく駅の中にあるドーナツチェーン店に行っておやつを買ってから人を避けながら地図アプリを開く。

 昨日のうちに保存しておいた病院の住所を検索して、ここからしているその病院に急ぐ。

 もしかしたら、起きているかもしれないという淡い希望を抱きながら。。

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