三章 第三話



 夜の砂漠に取り残されるのはそれだけでも危機的状況だ。機動兵器に乗っていたとしても、あまり気休めにはならないだろう。

 しかしハガネ達はそれを遥かに、上回る苦難に見舞われていた。


 既にヘヴィも兵士達ですらも、緩衝領域からは去っている。残っているのはハガネのヘヴィと、巨大な金属の球体だけだ。

 無論、ハガネ達も帰る手段を検討しなかった──訳ではない。


 それは一時間前に遡る。



 ヘヴィは次々転移して、歩兵達は砂を踏みしめ歩く。賑やかな銃声も既に止み、軍隊は撤退を始めている。

 本来であればハガネ達ももう、セプティカに帰還をしていたはずだ。しかし転送は失敗し、アモルファスはまだ宙に浮いている。

 その原因は一体何なのか。ハガネ達はまず知らねばならない。


「カナヅチ。機体の状態はどうだ?」

『データを見る限り不具合はなし。派手にやったのに頑丈なもんね』

『そりゃオレが用意したヘヴィだしな!?』

『今は威張れる状況じゃないだろ』


 ハガネがバックアップ班に聞くと、賑やかなやり取りが返ってきた。

 幸い、通信は機能は無事だ。それだけでも僥倖だとは言える。

 だがハガネ達は帰れない。それが一番の問題だ。


「正常なのに、何故転移できない?」

『システムにロックされてるみたいだ。あーアモルファスのシステムじゃなくて、セプティカを管理してるシステムな』


 カナヅチがハガネの疑問に返す。

 システムとはセプティカを管理する、抗いようのない言わば“ルール”だ。ポイントの付与や、情報の提示。その管理は遍く及んでいる。


「もしかしてこのまま帰れないんじゃ?」


 故にミウの不安も無理はない。

 むしろちょこんと眠そうにしている、アイリスの方が変わっているのだ。

 ハガネは平静を保っているが、それは生前の軍務によるもの。銃口を口へと押し込まれても、恐怖を感じない訓練をした。その訓練の是非は兎も角も、今は役に立っているようである。


「そうならないように、対処する」


 ハガネは帰還するための手段を、慌てず騒がずに探り始めた。


「マッドハッター。こういった事態を、以前に見聞きした覚えはあるか?」

『ヒャッハー! ぶっちゃけ無いわけじゃ無いぜ! 超ウルトラヒャッハーなウォーリアは、システムがたまに口を出すらしい! いわゆる特別任務ってやつだ!』

『ああ。それならアタシも知ってるよ。領主クラスがたまに受けるらしい』


 まずはハッターとカナヅチの助言。彼等はハガネ達よりセプティカの、常識や情報により詳しい。


『でも別に指示は出てないんだろ?』

「ワタシには何も指示は来ていない」

『じゃあアタシにも検討付かないな』

『ヒャッハーオレもだ! 悪いな大将!』


 しかし彼等にも分からないらしい。

 ハガネの予想より悪い事態だ。


「何か対策は?」

『とりあえず──システム問い詰めるしかないんじゃね!?』

『いや問い詰めるってどうやってだよ? んなポイント誰も持ってないだろ』


 二人にも対策がないとなると、ハガネの取りうる手段は少ない。

 後は領主に頼るくらいだが、フラムもビーハイヴも無反応だ。実は不安を伝播させないよう、ハガネはこっそりとメッセージした。相手はフラム、ビーハイヴ、ゲンブ。しかし、三人ともに返信は無い。


「ミウ。空間の状態はどうだ? 今すぐ崩壊を開始しそうか?」


 そこでハガネは思考を切り替えた。

 目的を直に果たせないのなら、まずは喫緊の問題に当たる。ハガネは死ぬわけにはいかないし、二人を死なせるわけにもいかない。


「えーと……。あれ? 大丈夫です」

「具体的には?」

「空間は正常。全数値に問題は有りません」

「ファントムを殲滅した領域は、一定時間の後、崩壊する」

「ですね。それは間違いありません。てことはまだ敵がいるんでしょうか?」


 ミウは混乱しているようだった。

 ハガネも内心では同じである。ハガネ達は帰還は出来ないが、見捨てられたわけでもないらしい。

 つまりシステムは意図を持ち、ハガネ達をここに閉じ込めている。


「レーダーにファントムの影はない。少なくとも感知は出来ていない」


 しかし倒すべき敵は無し。流石にハガネも混乱してきた。


『なあちょっと良い? 考えたんだけど……』


 ──と、その時カナヅチが思いつく。


『ゲートウェイ付近まで移動して、テレポーターで帰還してみたら?』

「転移を禁止されているはずだが」

『それはヘヴィか、ハガネ個人かもよ?』


 カナヅチの提案はシンプルだ。

 アモルファスをこの場所に乗り捨てて個人単位で帰還を試みる。


『オレのアモルファスちゃんは置き去りか!?』

『お前のじゃないし。仕方がないだろ』


 マッドハッターの言うとおり。問題が無いと言えば嘘になる。

 だが可能性が一つでも有れば、現状では試してみるべきだ。


「了解した。ゲートウェイへと向かう」


 ハガネはカナヅチ案を採用し、ゲートウェイへとアモルファスで飛んだ。



 と、言うワケでそれから数分後。アモルファスはテレポーターどころか、ゲートウェイの目の前に浮いて居た。個人帰還用のテレポーターを、一つも見つけられなかったからだ。

 本来これらを使用するはずの、歩兵もいきなり転移して行った。これもシステムの仕業であろうが、詳しい仕組みは何も分からない。


 とにかくアモルファスはゲートウェイと──呼ばれる物体の目の前にいた。

 それは機械で出来た球体で、砂漠に少し埋まって浮いていた。アモルファスが小さい物であると錯覚させるほどの大きさで、微動だにせず何の音もさせず、不思議と空中に静止している。


 防衛戦の目的はこれを、ゲートウェイを守り切ることである。しかしハガネはこれがなんであるか、具体的なことは何も知らない。解っているのはアモルファスと、このゲートウェイだけが残されたことだ。

 つまり帰還するための手がかりで、最上位がこのゲートウェイである。


「防衛目標と言う事以外、これについて知識のある者は?」


 そこでハガネは皆に聞いてみた。

 マニュアルには護るべき物という、情報以外は乗せられてはいない。これはファントムとよく似ているので、何らかの関連があるのだろう。そう言う予測は付くのだが、それだけに真実は解らない。


「うーん。名前から類推すると、何かの入り口なのではないかと」

「アイリスは、わからない」


 ミウとアイリスは答えたが、ハガネもこれは想定内である。共に活動をしている以上は、情報は常に共有している。

 問題はサポートの二人だが──


『ヒャッハー知らん!』

『アタシもだ。ファントムと同じ最大の謎さ』


 ハッターとカナヅチもそう言った。

 入り口らしき物も特に無く、内部は壊さなければ解らない。しかし、残された最後の希望をそう簡単に攻撃もできない。

 そこでハガネは折衷案として、アモルファスで表面をノックした。手の甲で破損させない程度に。


「反応は無いな?」

「ないですねー」


 しかしミウも認めているとおり、ゲートウェイは何の反応も無い。

 中に人でも乗っているのなら、返事を返すかと思ったのだが。


 もう少しリスクを取るしかないか?──ハガネがそう考えた時だった。


「これは……空間に転移反応! この反応はファントムみたいです!」


 ミウが急に焦って伝えてきた。

 と、同時にハガネはアモルファスを、振り返らせ夜の空を見上げる。

 そこでは確かに空間が歪み、間も無く黒い炎が現れた。


「今見えた。ライフル」


 当然に、ハガネはその攻撃へと備えた。

 ファントムがゲートウェイをどうするか? それはハガネにもまるで解らない。しかしファントムがヘヴィに対して、無視する事は考えづらいのだ。


 そのためアモルファスの右腕に、ライフルが現れて握られる。幸運にも、武装の転送は、システムに許可されているらしい。

 ハガネはそのライフルの銃口を、現出するファントムへと向けた。


 一方、ファントムはあっという間に自らの本体を形作る。

 黒い炎の周囲を金属で、被った人型の巨大ファントム。


「ヘヴィ……?」


 それにハガネすら、驚いた。

 内部の炎を無視すれば、ファントムはヘヴィに酷似していた。形状も。サイズも。その上に、目らしき物が律儀に四つある。


「反応から見ると、ファントムです。でもあの姿は、偶然なんて……」


 ミウもハガネと同じ所感らしい。

 システムに閉じ込められた戦地で、ヘヴィのようなファントムとまみえる。これが偶然だと考えるのは、状況的に無理があるだろう。

 それにハガネは一度自分に似た、ファントムと交戦経験がある。もっともハガネはその当時、フェアリーで訓練をしていたが。


「てき」


 そんな思考を巡らす中、アイリスだけが即座に切り替えた。

 結果的には彼女が正解だ。


 ファントムは数秒ハガネを見つめ、その後右腕を小さく上げた。するとその手に黒色の炎が、集結して銃器を造り出す。


「ライフルか……」


 ハガネはそれを見て、迷うこともなく引き金を引いた。

 アモルファスの持つライフルは、既にファントムへと向けられている。引き金を引けば光が放たれ、ファントムを貫く──はずだった。


「弾かれた?」


 ハガネにはそう見えた。

 光線がファントムの直前で、それを包む球体に弾かれた。まるでヘヴィの纏うフィールドだ。当然、ファントムにダメージは無い。

 さて、ファントムが無傷である以上、その次の展開は決まっている。


「反撃来ます! て言うか来てます!」

「今避けている。ゲートウェイは無事か?」

「無事です! でも狙いは……!」

「ワタシ達か」


 アモルファスが急加速をかけると、ファントムのライフルが火を噴いた。赤色の光線がアモルファスを、狙って二度三度と発射される。

 アモルファスは上手く避けてはいるが、背後のゲートウェイに命中した。爆発もなく傷もないことからおそらく何かで弾いたのだろう。ハガネがそれを確認する事は、残念ながら不可能であったが。


「迎撃する」


 ハガネはアモルファスで、ファントムに反撃を試みた。

 とは言っても、相手も撃ってくる。攻撃に全力は注げない。


 アモルファスは低空まで降下し、そこから砂の上を滑るように──ファントムの射撃を回避しながら、希にライフルで撃ち返す。

 砂を巻き上げ、時にフィールドで、砂山にぶつかり破壊しながら。またファントムの射撃も砂漠へと、次々突き刺さって、砂を溶かす。


 一方、アモルファスからの射撃はファントムのフィールドに防がれた。かつてビーハイヴがミウの射撃を、フィールドで弾いて防いだように。


「ダメか?」

「フィールドは削れています。ただ直ぐに回復していますけど……」


 ミウ曰く、一時的にではあるが、フィールドは弱まっているらしい。

 しかし、連続で反撃するほど、ハガネに余裕が無いのも事実だ。

 そうである以上一撃の、威力をもっと増やさねばならない。


「アイリス。貫通弾は使えるか? 命中精度も高いと助かる」

「うん。まだ、かんつーだんはつかえる。あといっかいだけなら、まげられる」


 そこで、ハガネがアイリスに聞くと、彼女は耳を立ててそう答えた。

 ライフルのアンダーマウント銃は、魔法を込めて放つ事が出来る。ただその分連射は効かないので、確実に当てる必要はあるが。

 アイリスによるとミサイルのように、常時誘導するのは無理らしい。


 などとやり取りをしていると──


「……!」


 アモルファスが急回転した。

 右肩の上部に射撃が当たり、その衝撃で動かされたのだ。


「右肩部被弾! 装甲損傷! 内部へのダメージは……ありません!」


 ミウの言うとおり幸いに、装甲の一部が壊れただけだ。内部が一応見えてはいるが、その機能に障害は感じない。おそらくアモルファスのフィールドと、コートが威力を弱めたのだろう。

 むしろそれでハガネは思いついた。あのファントムを倒す方法を。


「アイリス。さっきの弾丸を頼む。一度だけで良い、奴に曲げてくれ」

「わかった」

「ミウは防御に集中を。フィールドを操作して被弾箇所を……」

「護るわけですね。了解しました!」


 ハガネ達はフィールドを操作して、物体を動かす訓練をした。それを応用すれば被弾部だけ、防御力を上昇できるはずだ。


「こちらは連戦をさせられている。よって、目標を一度で仕留める」


 ハガネは顔には出さないが、そして出せないが疲労をしていた。

 故に長期戦には持ち込めない。即、ファントムを撃墜するべきだ。


『ヒャッハーラックだ! ハガネの大将!』

『アンタなら出来るよ! ま、たぶんね!』


 マッドハッターもカナヅチも、一応反対していない。

 むしろ応援してくれてすらいる。それで勝てるかは別問題だが。


「ではこれより反転、攻勢する」


 兎も角も、ハガネは宣言した。無論、ファントムの射撃を避けつつ。


「クリスタル・えねるぎーかんつーだん。いっかいだけまがる、きのうつき」


 するとまずアイリスが仕事をした。

 ライフルのアンダーマウント部分。単発式魔法銃が輝く。


「チャージかんりょう」


 これで一発だけ、強力な弾丸を発射できる。

 後はそれを命中させるだけだ。ハガネはその努力を、惜しまない。


「遅延発射設定。十秒後」


 ハガネは言うとアモルファスの持つ、ライフルを砂漠へと捨てさせた。無造作に。作戦の一部として。

 ライフルは砂山の斜面へと、落下して砂粒を巻き上げる。


 そして──「ソード」次の瞬間に、アモルファスはソードを転送した。

 アモルファスはそれを両手で握り、即座に、ファントムへと斬りかかる。落としたライフルから気を逸らし、ファントムの動きを、止めるために。


 当然、ファントムは射撃してくる。

 その対処はミウの役目であった。


「させません!」


 アモルファスの隙を突き、赤い光線が左足を撃つ。しかし今度は装甲も含めて、大きな損傷を負うことはない。

 無論、連続して命中すれば、フィールドの出力は弱まるが。アモルファスと一心同体の、ハガネがそれを許すはずもない。


 ソードを構えたアモルファスが急制動を繰り返し、接近する。端から見れば短距離のワープを、繰り返しているように見えるほど。

 ファントムも狙って撃っては来るが、その動きを捉える事はない。

 後はソードで彼を斬り裂けば、仕込んだ策も無駄になるはずだ。


「やはり防ぐか」


 しかし、止められた。

 銀色の金属と金属が、衝突してそこから火花が散る。ギリギリでファントムもライフルを、ソードの形に作り替えたのだ。ライフルは黒い炎に戻って、刹那に銀の剣になっていた。

 もっともハガネは防がれることを、予期して策を練ったワケなのだが。


 アモルファスとファントムは斬り結び、そして──離れて、また斬り結んだ。

 後は魔法の銃が発射される。そのタイミングに逃がさないことだ。ハガネは軍出身である以上、そのような戦いには慣れている。


 鍔迫り合いが起きる瞬間に、ライフルは確実に発射された。

 砂山に転がっていたライフル。当然敵に向けられてはいない。しかしアイリスの魔法の力で、白い光線が直角に曲がる。

 その光線は敵の脇腹に、真っ直ぐ突き刺さるコースを取った。予想外だったのはファントムが、それも寸前で回避したことだ。


 ファントムがどうやって見抜いたのか。或いはただ反応して避けたか。直前で無理矢理に後退し、二機の間を光がすり抜ける。


「そこだ」


 故にアモルファスの剣が、代わりにファントムを刺し貫いた。

 仕掛けた者と仕掛けられた者。その差が対応に現れたのだ。ハガネはファントムが躱したことで、即座に次の手段を行使した。剣激戦に於いては一瞬の、微かな隙が、命取りになる。


「悪いが消えて貰う」


 ハガネはエネルギーをソードに注ぎ込む。するとソードの刀身は最早、ファントムに埋められた爆弾だ。眩い光と共に弾け飛び、ファントムを内部から破壊する。

 ハガネは一切容赦しなかった。おそらくそうすべきだと、知っていた。


 ファントムは胴を失い飛び散り、砂の大地に次々落下する。頭部も完全に切り離されて、反撃をする余地など無いはずだ。


「アイリス。追撃を」

「うん。わかった」


 しかし、ハガネはアイリスに指示した。

 ハガネが直接叩きたいのだが、ライフルを拾いに行く暇は無い。


「クリスタル・しゅーと」


 こう言う時に、魔法は非常に便利な手段だ。

 背中の魔法触媒部が光り、複数の結晶が現れる。それは、アモルファスの周囲から、ファントムの残骸へと飛んで行く。


 脚部、腕部、そして頭部。形の残る部分に突き刺さり、跡形も残さず消滅させる。黒い炎は一片も残さず、文字通りに燃え尽きて消え去った。


「対象の消滅を確認した」

「あ。システムから通知が来ました。転送許可が下りた、みたいです」


 ハガネがそれを言って確かめると、直後にミウがハガネへと伝えた。何故か少しだけ怯えた様子で。


「何か問題か?」

「いえ。そうじゃなくて。ただハガネさんが、少し怖いなと」


 ミウの言う事ももっともだ。

 ハガネも少し生前の自分を、思い出した──そんな気分だった。

 それをミウが直接言ったのは、信頼感の成せる技だろう。


「心配をかけたなら謝罪する。少し、敵に気圧されていたようだ」


 一方ハガネはミウ達を、安心させるために嘘をついた。

 本当は気圧されたわけではなく、ファントムに違和感を感じていた。あのファントムは何かが特別だ。それが何か説明は出来ないが。システムがハガネを閉じ込めたのは、アレとハガネを戦わせるためだ。


「今は帰還して、休息を取る」


 ハガネも流石に疲労して、今度は本音で皆に言った。



 機械人のビーハイヴとゲンブ。二人は司令室で合流した。

 いつものように、二人きり。ヒミツの話をするためだ。その幕開けはゲンブの受け取った、情報の報告から始まった。


「と、言うワケでハガネ殿達から、聞いた情報はこんなんでござる」

「君も彼等をつけていたのでは?」

「流石の拙者もシステム相手じゃ、従うしかないでござるからなあ」


 そう言ってゲンブは肩をすくめた。

 一方、ビーハイヴは冷静だ。この前までとは別人のように。

 彼の友であるゲンブなら、その不自然さには当然気付く。


「ほほう。落ち着いているでござるなー」

「それについては、ワタシは話せない」


 そのビーハイヴの言葉を聞いて、ゲンブは直ぐ答に辿り着いた。


「友よ。システムに会ったでござるな?」

「ワタシは“話せない”と言ったはずだ」


 システムに会って聞いた内容は“話せない”。それがルールの一つだ。

 しかし、それが事実ならば事実で、色々と腑に落ちる事もある。


「ハガネ殿は思っていたよりも、まずい状況にあるようにござる。システムが直接の干渉など、聞いた事もないでござるからなあ」

「師匠の行方もわらないままだ。奴らには動いて貰うしかない」

「同情するでござるよ。ハガネ殿」


 腕を組むビーハイヴを前にして、ゲンブは手の平を会わせて言った。

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