第85話

 この世界は一つじゃない。

 全部で10つ、今一つ壊したので9つはあるのだ。

 そのうちの一つを潰してもすぐに他の世界と自分を繋げば、新しく天剣を作ることくらい簡単に出来るだろう。

 

 アレーヌは一度に一つの世界としか自分とつなぐことが出来ないが、どんな世界であっても簡単に自分をつなげる事ができるのだ。


「あ……ごッァァァアアア」

 

 血が流れ、死神の足跡が近づいてくる。


「ドラァァァァァァァ!!!」

 

 そんななか、俺はアレーヌの頭を掴み、全力で頭突する。

 鈍い音と強い衝撃が震え、視界を揺らす。


「アレーヌッ!!!」

 

 俺は叫ぶ。

 邪神の中にアレーヌはいないと思っていた……だが、居た。

 そして、僕は剣を触れなかった。

 それが答えだ。


 俺はアレーヌを殺せない。

 

 叫ぶ。


「アレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーアヌレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーアヌレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーアヌレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーアヌレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーアヌレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーアヌレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーアヌレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーアヌレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーアヌレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーアヌレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌアレーヌ」

 

 呪詛のように。

 幾度も幾度も叫び続ける。


「アレーヌッ!殺せないッ!俺には、僕には殺せないッ!!!殺せるわけがないんだッ!!!君は……唯一の理解者なんだッ!君が……ッ!君が……ッ!君がいなければ駄目なんだッ!」


 アレーヌは動かない。

 僕はただ喚き散らす。


「アレーヌッ!僕を無視しないでッ!」

 

 何も考えない。ただただ思ったことをぶちまける。




「ゼロ……」




「アレーヌ!!!」

 

 

 

 僕の言葉が……届いた。


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