第82話
ひび割れ、すでに崩壊している地面に……近づいてく。
ドゴンッ
心臓を貫かれた僕はそのまま地面にまで叩きつけられた。
大きく地面にヒビが入り、四肢から力が抜けていく。
「カハッ」
俺の口から血があふれる。
「……ァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
邪神が大きな歓声を上げる。
「ふっ」
ゆっくりと。
俺は震える右手を持ち上げる。
「……ァ?」
そして、とある方向を指さした。
虚構の世界が、塗り固められた嘘が剥がれ落ちていく。
世界は泡のように溶け、俺も霧のように姿を消す。
「良いショーだっただろう?」
指さした方向。
そこに立っていた俺は不敵な笑みを浮かべる。
俺が立っている場所も、邪神が立っている場所も。
きれいなままだ。さっきのように、地面が崩壊しているなんて言うことはない。
「アァッ!?」
邪神が悲鳴を上げる。
ジャラジャラ
鎖がその場へと姿を現し、邪神を封じる。
この鎖は特別製だ。圧倒的な特別製。絶対的な特別製。
僕が作った法具じゃない。かつての世界が、作り出した万物を封ずる絶対の理。その鎖だ。
「俺が最強な理由を教えてやるよ。俺が認識出来るのはこの世界の理だけじゃない。すでに滅びた確定された理を理解し、再現出来るから強いんだよ。どうだった?今の世界よりも五つ前に滅びた世界は?」
俺は楽しげな笑みを浮かべる。
「……これで終わりだ」
俺は手に握られている長槍を構える。
これは今、俺が作れる最強の武器だ。
最も貫通力の高い槍の法具に魔剣の力を込めた特別製。そして、この長槍に込められている力はそんなものじゃない。すでに固定された、古き世界の理の力を再現し、最適な形で込められている代物だ。
「死ねッ」
僕は、鎖に縛られて身動きが取れなくなっている邪神に向かって長槍を投擲した。
「──────アァ!!!」
そして─────世界が光に包まる。
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