第77話

 かつて世界は一つだった。

 幾つもの世界が滅び、それに合わせてまた一から別の世界で生命が始まる。

 それを幾年も、世界は、この宇宙はそれを繰り返してきた。そんな歴史を持っているのだ。

 

 そんな長い歴史の中で世界が分かれるなんてことは起こらなかった。

 その理由は単純で、世界を分ける。その難易度があまりも高すぎたからだ。

 この世の理全てを理解出来る。そんな怪物でも無い限り世界を分けるなんて事はできないのだ。

 そして、長いの歴史の中で世界の理を理解出来る人は現れることはなかった。

 

 俺の誕生まで。

 

 俺は生まれながらの天才だった。

 世界の理全てを理解したのだ。この世の理を。

 不確定で、不安定なこの世の理を。

 天性の感覚と卓越した頭脳で。誰にも見えない世界を俺は一人見ていた。


 この世界の理は、法則は、まだ決まっているわけではない。とある作業をすることによって世界の理の、法則の在り方を変えてしまうことが出来るのだ。

 時間の流れを早くしたり、遅くしたり、重力を無くしたり。なんでも出来るのだ。

 

 

 まだ神はサイコロを振っていなかったのだ。



 魔法。

 それは俺が開発した術だ。理そのものを変えることによって、本来の現実ではあり得ない奇跡を引き起こす。

 本来ならばこの世の理を全て理解している僕以外には使えないはずの奇跡なのだ。魔法とは。

 それを、魔剣という補助装置で、理への干渉を手伝い誰でも干渉出来るようにした。それによって誰でも魔法を使えるようにしてやったのだ。

 そうすることによってようやく人間は邪神と戦えるようになったのだ。

 

 ずっと戦ってきた……。

 

 2024年。

 

 ようやく勝てる。終わらせると思っていた。

 だが、人間たちは自分たちの世界に絶対上位種がいることを良しとしなかった。

 裏切られ、倒す機会は遠のいた。

 

 俺に出来たことは邪神を自分の中へと封印し、その影響力を弱めることだけしか出来なかった。俺は石像となり、邪神を封じたのだ。

 それでも邪神の禍々しい呪いを完全に絶つことはできなかった。

 世界中に邪神の呪いがばら撒かれた。

 

 ある人たちは夜に生きることができなくなった。ある人たちは昼に生きることができなくなった。ある人たちは陸上で生きることができなくなった。ある人たちは体が大きくなり、既存世界で生きにくくなってしまった。

 人間は全部で9つに分かたれてしまった。

 

 だから、俺は世界を9つに分けた。

 

 世界で初めて。長い歴史の中で初めて世界が分かたれたのだ。

 

 そして、一度あることは二度ある。

 再び世界は分かれる。分かれたのだろう。

 表世界と裏世界に。

 世界を分けたのはアレーヌだ。





 あとがき

 ただ設定を書いているだけ。

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