第71話
「法具」
僕は法具を作り出す。
最初はこいつらが対僕用の、僕メタの生物かと思っていた。
だからこそ僕を最強の一角たるしめている法具の力も通らぬだろうと言う予想の元法具を使っていなかった。
しかし、こいつらは僕メタの生物とするのならばあまりにも脆弱だった。
これが僕メタの生物だとしたら失敗そのものだろう。こいつらでは例え何年戦ったとしても負けないだろう。
「生成」
故に僕はこいつらを別に僕メタでもなんでも無く、ただただ何故か魔剣を無効化するだけの存在だと判断する。
「霊水」
僕が作り出したのは普通のペットボトル。ただしのこのペットボトルに入っているお水は普通のものじゃない。全ての物を浄化し、どんな傷や病も治す霊水だ。
こいつらゾンビみたいなもんだし、霊水かけておけばなんとかなるだろう。
そんなすっごい軽薄な考えの元、僕は霊水を彼女たちにぶちかけた。
「「「ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああ!!!」」」
彼女たちは鼓膜を突き破るまでの圧倒的な声量の叫び声を上げ、その体を溶かしていった。
僕の予想はびっくりするくらい当たったのだ。
さっきまでの苦労は一体何だったのか?
悲しいくらいに彼女たちは見る見る内にその体を溶かしていき、最終的に石の破片をその場へと残して溶け切ってしまった。
「……この石の破片は一体何なんだ?」
僕は残った石の破片に首を傾げ、拾おうと手を伸ばす、そんなときだった。
ドンッ
地面へと何かが叩きつけられた。
「おわっと」
僕は驚き、その場から一歩退く。
落ちてきたのは邪神。
「ちょっと僕の方へと落としてこないでよ!びっくりしたじゃん!」
僕はこの邪神を地面へと叩きつけたであろうアレーヌの方に向き、抗議の声を上げる。
「すまんすまん!」
アレーヌが空気を蹴って、ものすごい速度で僕の方へと降りてくる。
「もう!アレーヌの方ももう終わりそうだね」
「あぁ。もう終わるぞ。いやぁー苦労したな」
「……そ、そうだね」
地面へと転がっているボロボロの邪神の方へとアレーヌは近づいていく。
「でもこれで終わりだ」
アレーヌは伸ばした天剣を邪神の方へと向ける。
カランッ
アレーヌが止めを指すよりも前。邪神の手から握られていた魔剣が床へと落ちる。
そして─────
落ちた魔剣は彼女たちが残した石の破片と触れ合う。
その瞬間。
その瞬間、アレーヌが止めを指す前のその一瞬に。
圧倒的なまでの魔力が吹き荒れ、油断しきっていたアレーヌの態勢をズラして、邪神はその攻撃による致命傷をなんとか避けた。
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