第68話
僕とアレーヌは肉塊の方に近づいていく。
「ん?」
肉塊の方へと近づいたその瞬間。
僕の体が光り始め、そして、それと同様にアレーヌの体も光り始める。
え?何?
そして、さっきまではピクピクと微かにしか動いていなかった肉塊はその動きを激しくし始める。大きく震え、蠢く。
その肉塊は宙へと浮かび上がり、台から離れていく。
え?何?
「え?え?」
「何が起こっていやがる」
僕は困惑する。
何故かこの良くわからない肉塊に既視感を抱いていた。
そして、その肉塊は大きく動き出し、収縮していく。
「うっ」
「まぶし」
次いで肉塊は大きな光を放ち始め、地面を揺らすほど大きな重低音を発しだした。
「何が……?」
音は止み、光に閉ざされていた視界が闇へと戻ってくる。
「邪神」
僕は開けた視界に映っていた存在を見て小さな声を上げる。
そこにいたのは……宙に浮かんでいたのはさっきまでの巨大な肉塊ではなかった。
邪神。
アレーヌくらいの身長で、真っ黒な肌に、肩まで伸ばされた銀色の髪に真っ赤な瞳。身長はかなり高く、背中からは禍々しい翼が生えている。
下半身からは数多の触手が生えていて、足の代わりを果たしている。
そんな化け物。
実に既視感のある化け物がそこには存在していた。
……ここにもいるのか。
「なるほど禍々しい気配だ……」
隣のアレーヌが警戒心マシマシで剣を構え、天剣を発動させる。
「魔剣」
僕は手始めに魔剣を召喚し、飛ばす。
確実に元の異世界で向けたのなら倒せるであろう一撃。
しかし、何故か僕はこれじゃ倒せないという予感がしていた。
纏っている雰囲気があまりにも違いすぎた。
あの邪神が纏っている雰囲気は僕やアレーヌに近い。
この邪神ならば世界であっても余裕で破滅させられるであろう。
カンッ
案の定僕の放った魔剣は弾き返されてしまう。
どこから取り出したのか、いつの間にか存在していた石の破片で。
……あんな石の破片に弾き返されるのかよ……。
「久しぶりに骨のありそうな相手」
「まったくだな。二人で行くぞ!フォーメーションCだ!」
「……うん!」
ちょっと待って?フォーメーションCって何?
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