第64話

「何っ!?この街の地下に巨大な空洞があるだと!?」


「うん。そうだね」

 

 アレーヌの驚愕の一言に僕は返答を返す。

 

 カチャッ

 

 僕とアレーヌは食後のコーヒーを飲んでゆっくりしながらこれからのことについて話していた。


「ほ、本当か?それが邪神によるものだ、と?」


「僕はその可能性が高いと踏んでいるよ」


「だ、だが私が情報を集めて調べた限りではここはなんともなかったぞ……?」


「んー。そうだね。だから僕も不思議に思ってアレーヌが集めていた情報を精査してみたんだけどね」

 

 僕はアレーヌがいつも持ち歩いている大きなカバンの中に入っていた世界地図や様々なことが書かれたメモを取り出して並べていく。


「これを見て」

 

 僕は書かれている情報を次々と指さしていく。

 書かれている情報、邪神教のアジトがあると目星をつけている場所の情報を。


「あまりにもきれいに配置されすぎているように見えるし、数も多すぎる」

 

 邪神教のアジトが思われている場所。それらを線で結んでいくと星のような形になる。これを偶然と捉えられないだろう。


「多分これらはアジトの情報じゃなくて魔法を使うための魔法陣だと思うんだ」

 

 魔法陣。僕はよく知らないけど大規模な魔法を使う際に他の人間たちがよく使う手法だ。

 おそらく僕らが巡っていた街に、蟹の化け物と戦った街のどこかに、おそらく魔法陣のための、小さな印が描かれていたのだろう。

 全然気が付かなかったけど。


「なるほど……」

 

 僕の言葉にアレーヌが神妙な顔つきで頷く。


「それでじゃ」


「……………あ!」

 

 そして、ようやく何かに気づいたのか、僕の言葉を遮ってアレーヌが大きな声をあげる。


「これらの中央にある街がここだ!!!」


「そういうことだね」

 

 僕はアレーヌの叫び声に頷く。


「おそらくだけど国すらも越えたこの魔法陣を使って、何かしようとしているんじゃないかな?邪神は。多分地下にあるのはこの魔法陣を使って魔法を使うための祭壇があるんじゃないかと睨んでいるんだけど」


「確かにそうだな!」


 アレーヌは納得がいったように叫ぶ。


「行くぞ!ゼロッ!今すぐにでもカチコミに行くぞ!」

 

 アレーヌは立ち上がり、大きな声を上げる。


「えー」

 

 僕はアレーヌの言葉に不安げな言葉を告げる。


 カチャッ


 コーヒカップを手にとってコーヒーをすする。


「コーヒータイムを楽しもうよ。……もしかして僕との時間より邪神の方が大切なの?」


「いや、そんなことはないぞ?確かにそうだな。そんなに急ぐ必要もないしな」

 

 アレーヌは僕の言葉に頷いて、再び席に座ってコーヒーカップへと手を伸ばした。

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