第57話

「いやー、助かったわ。すまんなぁ。お前に力仕事を任せて。こういうのは私の仕事だってのに」


「え……あ、うん。そうだね。アレーヌ」


 僕は目の前で感情豊かに笑いながら話し、豪快に目の前に置かれている食事を食べ進めているアレーヌを見て曖昧な笑みを浮かべながら頷く。

 アレーヌ。アレーヌ。……あの無表情のアレーヌが……?

 僕は何が起きているのか……わからずただただ困惑する。


 今、いる場所は冒険者ギルド。

 

 僕は今何処にいるのだ?

 地球か?異世界か?はたまたまた別の異世界か?


 ぱっと見た感じ文明レベルは異世界と同じように見える。

 文明レベルは同じ。いる場所もついさっきまで居た異世界と同じだろう。

 冒険者ギルドの作りが一緒だ。

 確実に地球ではないし、ここは同じ異世界と考えても良さそうだ。能力とかも変わらずに使える。

 言葉や文字も問題なく使える。

 

「ん?どうした?食べねぇのか?」


 だがしかし、ここが同じ異世界だと仮定するのならば……意味がわからないのが目の前にいるアレーヌの存在だ。

 なんで人格チェンジしているの?何かあったの?

 本当に意味がわからない。


「……あぁ。うん。食べるよ」

 

 僕はアレーヌの言葉に頷き、何気ない動作でフォークを手に持って料理を口へと運ぶ。

 もうクソみたいな食事にも慣れた。それに、さっきの気持ち悪い虫よりはマシだ。


 





         


































「……え?」

 

 僕は硬直する。

 口の中に広がるはクソみたいな味ではない。

 素材の、調味料の、料理の、味だった。


「あぇ?」

 

 何も理解できぬまま僕は硬直した。

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