第55話

 口の中に放り込んだ赤い木の実。

 それに対して僕は歯を立てる。


 ───────

 

 何かが聞こえてくる。

 どこか遠くから。


「ないんrぱばpらhんぱrlはおぇあやhp;fhねあ0p;おだ。↓hばいlぞでゃgszbぴのぁ←だんzpそlでゃbdにlskhvなおえっ↑mばの;kgばのえいばぽ;lkうfはおぺgばお@z;ltfぐゔぁb;ご。ふkdjbgxじ」

 

 僕の口から声にならない何かが漏れ出す。

 口の中を形状し難い何かが。度し難い何かが蹂躙した。


「おぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 

 吐く。

 口の中に入れたものを。


「ひっ」

 

 僕の口から恐怖の声が漏れ出す。

 吐き出したもの。

 僕の口にさっきまで存在していたもの。

 それは小さな虫。ミミズサイズの。

 赤黒いムカデのような半透明な体に緑色の乱雑に生えている足。半透明な体の下にはよくわからない数多の小さなウジ虫のようなものが蠢いている。

 そして─────

 

 体の至るところに浮かんでいる数多の瞳が僕を見定めていた。


 そんな気持ち悪い虫がたくさん僕の口から出てきたのだ。

 

「ひぃあ」


 後退り、前を見る。


「ひっ」

 

 そして、またしても悲鳴が漏れる。

 さっきまでなんともなかった赤い木の実が生えいていた。街路樹くらいの高さの低い木。

 そんな低い木を這いずり回る気持ち悪い虫たち。

 そして、木になってる草は腐ったような……形状し難いおぞましい見た目になっている。


「……ぁ」


 いつの間にかこの場所は変わっていた。

 爽やかな野原が忽然と何か別の悍ましい何かへと。

 天上に揺らめく太陽はぎょろとした大きな瞳へと。

 空は赤黒く染まり、地面に広がっていた草は無くなっている。

 代わりに存在しているのは気持ち悪い虫たち。数多の気持ち悪い虫たちが這いずり周り、そして。

 僕の手のひらへと登ってきて……そのまま上がってくる。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああ!!!」

 

 僕は情けない声を上げて立ち上がる。

 腕を振り払い、叫ぶ。

 

 ───────

 

 何かに。

 僕はなにかに導かれるように走る。

 そして、辿り着く。

 

「……ぉ」

 

 僕の視界は光に包まれた。







 あとがき。


 僕の夢。

 悪夢とかそういうレベルじゃないよね……。

 ちなみに今作は僕の見た夢をラノベ風に改変したものにござる。

 

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