第53話
「ア……アァ……」
邪神はあっさりとその場に崩れ落ちた。
まぁあれだけの魔剣に貫かれたらアレーヌだって倒れるだろうから妥当なことだけどね。
「アレーヌ。大丈夫?」
「うむ。平気だ」
僕の疑問にアレーヌはいつもの無表情で僕の言葉に頷く。……あれ?なんかアレーヌ動揺していない?そんな風に微かに見えるのだが……いや、気の所為か。
「それで?次はどこに行くのだ?」
「んー。そうだなぁ。邪神も外れだったしなぁ。やっぱり古代遺跡が一番可能性がありそうかな?」
「……うむ。そうであろうな」
アレーヌは僕の言葉を聞いて、そしてちらりと邪神の方へと視線を送る。……ふむ?どうしたのだ?
まぁ、良いか。
「んー」
僕は大きく背筋を伸ばす。
結局ここも外れだったかぁ。落胆が激しい。
ふと、僕の視界にカミラが入る。
「あぁ。もうお前は用済みだよ」
僕は魔剣を飛ばし、カミラの心臓を貫いた。
魔言は生きている人間にしか効力を発揮しない。
死んだカミラはゆっくりと体を倒した。
「あぁ、君達ももう『動いていいよ』」
僕はずっと止めておいたままだったアキラネ第一王子たちに向けてそう告げる。
ドサッ
彼らは何も言わずにその場に崩れ落ち、体を震わせていた。
「あ、あれ……」
そんな中アキラネ第一王子はゆっくりと自らの右腕を持ち上げ、ある一点を指差す。
「ん?」
指さした先。
僕の後ろ。
邪神の死体があった場所。
「え?」
僕は何かあったのかと思って後ろに振り向く。
「は?」
声が。
僕の口から声が漏れる。
これはなんだ?意味がわからない。
邪神の体が石化していっていた。石化した体が徐々に……ゆっくりと動き出している。
なんで石が動いているんだ?
僕が呆然としている間にも、蠢く石たちは自らの体を構成していく。
ザーザー
……いっ。
僕の頭に頭痛が走る。
あの石は─────石像は────。
「──────」
どこからか誰のものかもわからない声が聞こえてきた後、僕の視界は黒く塗りつぶされた。
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