第52話
無秩序に膨れ上がった胎児たちが一つになる。
互いに互いが喰らい合い、一つの大きな肉塊へと。
ブチ……ブチ……ブチ……
肉のちぎれる音。
そして一つとなった大きな肉塊を打ち破り、一人の怪物が姿を顕にする。
真っ黒な肌に、肩まで伸ばされた銀色の髪に真っ赤な瞳。身長はかなり高く、背中からは禍々しい翼が生えている。
下半身からは数多の触手が生えていて、足の代わりを果たしている。
身長はアレーヌくらいか。
こいつが邪神だろうか?
「ア……ア……アァ……」
邪神と思われる存在が口から意味のわからない声が漏れ出す。
「あ、……あぁ……神よ!あぁ!神よぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!我らに救いを!!!!!」
カミラが涙を流しながら叫ぶ。
ふむふむ。どうやらあれが邪神であっているみたいだ。
カミラの儀式が成功していれば、の話だけど。
「ア……ア……アァ……」
「喋れないの……か?」
僕は首を傾げる。
邪神からはこれっぽちも知性を感じ取れない。
「……いっ……」
僕の隣に立っていたアレーヌが邪神の姿を見て、頭を押さえる。
「ん……?どうしたの?」
「いや、何故かあれを見たら頭痛が……」
「へぇー」
アレーヌのその辛そうな言葉。それを聞いて僕は邪神に視線を向ける。
「ふんさ」
僕は邪神の方へとさっと移動して蹴り飛ばす。
邪神は僕の蹴りをモロに受けて吹き飛ばされる。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!」
それを見てカミラが発狂する。
「貴様貴様貴様貴様ァァァァァアアアアアアアアアア!!!神に向かって何を!何をするぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
カミラが僕に向かって叫び、血走った視線を向ける。
「『ストップ』」
僕は魔言でカミラの行動を縛る。
もうあいつは用済みだ。
「喋れるのなら、喋れよ……知性ないなら殺すよ?」
「ア……ァ……アァ……アァァァ」
邪神はゆっくりと起き上がり、意味のないうめき声を上げる。
「オァ」
そして、邪神の体が光り輝き魔力が膨れ上がっていく。
なんかビームを打つ前準備のようだ。その対象は、僕、かな。
「敵意あり、と。それに知性もなさそう。……うん。死ね」
僕は召喚する。
大量に。
魔剣を。
その数は数十、数百なんてものじゃ聞かず、数千もの数を。
数多の魔剣が邪神の周りを囲む。
「さようなら」
それらの大量の魔剣が発射され、邪神を容易く貫いた。
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