第51話
台に乗せられた九人の胎児たちの体が膨張し、手足が異様に長く伸びていく。
そして─────
ぐちゃ……バキッ
胎児たちは自分のことを口に乗せている母親たちの口を異様に長く伸びている腕で引き裂き、口の中から出ていく。
「うぇぇぇぇぇ……ェェェェェェ………ヱェェェェエエエエエエエエエエエエエエ」
胎児たちの口から醜い声が漏れ、血を吐き出す。
ズルズル
ぐちゃぐちゃに無秩序に膨れ上がった己の体を動かして胎児たちは母親たちの首を掴み、自らの顔を母親の首へと……押し当てる。
くじゅくじゅじゅるじゅるるるるくちゅくちゅ
血の滴る音、血をすする音、肉を食いちぎる音。
最悪の不協和音がハーモニーを奏でる。
「うへぇ」
僕は目の前の光景に一応反応しておく。
目の前で行われている光景に対して誰も否定的な反応を示さないのは……なんかこう色々と不味いだろう。
「ふむ」
アレーヌはなんかぼーっと目の前の惨劇なんか無視して僕のことをじっと見つめているし。
「あぁぁぁぁぁ……神よ……」
カミラは歓喜の涙を流し、体を震わせている。
アキラネ第一王子たちは僕の魔言である『ストップ』を忠実に守っているため、ピクリとも動いていない。
石像のようにピクリとも動かないこの国の王子たち一行に、涙を流している気持ち悪い狂信者に、一切反応を示さない僕とアレーヌ。
ひどいな。めちゃくちゃひどいな。一回死すべきだよね。
ものすごい悲惨な状況だと言うのに。
ズルズル
胎児たち、母親を食い殺した胎児たちは立ち上がり中央へと集まっていく。
そしてそれらは一つに集まっていき……そして……。
邪神が誕生する。
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