第50話
「僕とアレーヌを無視するとかいい度胸ですよね?」
僕はアキラネ第一王子へと視線を送る。
「君たちは僕とアレーヌのおこぼれで来ているだけに過ぎないのを思い出してほしいですけどね」
カミラの方へと視線を送り、近づいていく。
「すみません。神の召喚は出来るのでしょうか?今すぐに」
僕はおそらく邪神教のトップだと思われるカミラに対して疑問を投げかける。
カミラは邪神と呼ばれるのが嫌そうだから、神と呼んであげる。
「……」
だがしかし、完全に無視される。
……あ。
「あぁ。すみません。『ストップ』の命令中でしたね。『動くのを許可します』これで答えられますか?」
「おやぁ?あなたも神による救済を信ずる同志ですかなぁ?」
さっきまでの狂気は何処へ行ったのか。
差も当たり前かのように。平然と僕の疑問に言葉を合わせた。
「んー。まぁはい。そうですね。神の召喚。神の御業。それらに興味がありますね」
「おぉ!!!」
カミラは膝をつき、涙を流し始める。
「同志よ……なるほど。我らが同志があなた方を導いてきたのはあなたが敬虔なる神の信徒だったからなのですね!」
……ごめん。普通に君の同志を皆殺しにしてここまで来ちゃったわ。
僕の言葉に一切疑問を持たず、すんなりと受け入れるという便利な精神干渉魔法をカミラへと使っているのでこの人は僕の言葉に何の疑問も抱けないのだ。
いやぁー。魔法ってばマジで便利だわ。
「はい。それで?神の召喚は今すぐに出来るのでしょうか?」
「はい。我らが同志よ。すでに準備は出来たァ!時は満ちた!」
お?運がいいね。サクッと行けるのか。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!神よ!神よ神よ神よ神よォ!今宵!あなたが再誕、する」
カミラは台の方へと近づいていき、涙を流しながら祈り始める。
「……へぇー」
僕はこの空間を支えている十字架を模した九本の柱を興味深く観察する。
……この柱。地上にいるスラムの人たちの魔力を吸い尽くし、魔力を集めている。そして、それらの魔力を中央の台へと送っている。
なるほどね。面白い。
「ほっ」
僕は十字架を模した九本の柱へと自身の魔力を送る。
このままだとスラムの全ての人たちの魔力を吸い尽くし、皆殺しにしてしまう。
別にいたずらに命を奪いたいわけではないからね。
膨大な魔力が。
僕の尽きることなき魔力が。
流れ、流れ、流れ。
世界は蠢く。
悲惨に。
ボコッ
台の上に置かれた供物。
女性の口に咥えられている胎児と思われるものが蠢き出した。
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