第24話

 冒険者ギルドがある町。アラキア公国の僻地の町に向かった僕はその町がこれ以上ないくらいのパニック状態へとなり、大慌てしている状況を目にする。

 町を囲う頼りない塀に登った弓兵がこれまた頼りない弓を向け、魔法使いも自身の魔力と世界魔力を繋げやすくすると言う効果を持つ杖をこちらへと向けてくる。

 門の外には兵士と思われる人間に、冒険者と思われる人たちも多数いる。


「うーん……?」

 

 僕は首を傾げる。

 なんであんなに大慌てなのだろうか?いや、慌てているだけなら理解できる。だが、なんであんなにやる気満々なんだ?何故に臨戦態勢?

 僕らの戦いは結構派手だったし、みんなにも見えているはずなんだけど?

 古龍が僕の氷魔法によって地面へと叩き落されたのは全員が見えているはずだ。

 わざわざ冒険者ギルド内で使った氷魔法を使ってみせたのだ。

 僕はこんなにわかりやすくアピールしたというのに……なんで?

 僕は内心の不安を心一杯に溜めながら思う。何でや。


「ほいっと」

 

 僕は町から少し離れたところに巨大な古龍の死体と古龍もどきの死体を投げ捨てる。

 

 ズシンッ……

 

 かなりの音と砂埃をたてる。


「よっと」

 

 僕は門の前へと降り立ち、アレーヌを落とす。


「宣言通り古龍の討伐をしてまいりました」

 

 僕は一番前に立っていた男に一礼して告げる。

 この男には見覚えがある。

 僕が見覚えあるということは貴族。多分この町の領主かな?

 

「パク……パク……」

 

 パク……パク……???

 僕は領主と思われる男の口から発せされた言葉に首を傾げる。

 パクパクを実際に口に出すやつがいるのか……?


「ま、まさか……?ほ、本当に?君達は一体……?」

 

 呆然とした領主と思われる男が呆然と呟く。


「あぁ。申し訳ありません。申し遅れました。現在はすでに騎士団所属の人間ではございますせんが、私たちは元々騎士団に所属している人間にございます。私は元副騎士団長のゼロと申します」


「元騎士団長のアレーヌだ」


「以前の雪辱。騎士団の取りこぼしを回収しに来た次第にございます。以前の雪辱は晴らせたでしょうか?」

 

 別にそういうわけではないが、そういうことにして言葉を告げる。単に商人の護衛依頼先がここだっただけだ。

 つい最近まで古龍のことなんて忘れてた。


「おぉー。ありがたい……ありがたい……」


 嘘だらけの僕の言葉に領主らしき男はこれ以上ないくらいに感情を高ぶらせ、涙を流しながら崩れ落ちた。


「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」

 

 そして、周りの人間からはどでかい歓声が上がった。

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