第23話
首を失い、生命活動を停止させた古龍の元へと僕はゆっくり降りてきた。
「お疲れ様」
さっきまで山に埋もれていたはずのアレーヌが何事もなかったかのように僕の元へやってくる。
「うん」
僕は頷く。
「結局剣を使ったのか」
「まぁそうだね。思ったりよりも古龍の魔法耐性が強かった。いやぁー。久しぶりに魔法をバカスカ使えてめちゃくちゃ楽しかった」
僕はしみじみと呟く。
僕の切り札。
それは僕に与えられたチート能力だ。……別に僕だけが持っている力なのかどうかはわからないけど。僕はこの国から出たことないし。
魔剣。
体内に保有している魔力の素となっている剣。圧倒的な力を持っている武器。これを取り出して振り回すだけでもかなりの強さとなれることだろう。
まぁこの剣は自分の力そのもの。これが壊されるなんてことがあったらそれはもう死んだも当然。
全ての力を失うにも等しい。少し傷がついたり、他人の魔力と混ざり合ってしまうだけでもアウトだ。
そんな危険な代物を外に出して戦う人なんていない。
残念ながら僕この剣を『体内』からは取り出すことが出来ない。
しかし、『体外』からなら取り出すことが出来るのだ。
どういう原理で、なぜ使えるのかもわからないけど、とりあえず僕は自由自在に様々な魔剣を体外から取り出すことが出来る。何にもないところからどんどこどんどこ魔剣が排出されるのだ。
十本でも、百本でも、千本でも、万本でも。
いくらでも出せる。
少し前に魔剣を万本単位で取り出し、全てを粉砕したことがある。
そして、僕の魔剣の強さは異次元そのもの。
魔剣の強さは元の人間の強さに比例する。強い人間の魔剣ならば強いし、弱い人間の魔剣ならば弱い。
僕が取り出す魔剣はあのアレーヌの魔剣よりも強力なのだ。
完全に化け物である。僕が取り出す魔剣は。一本で古龍をあっさりと倒すレベルには。
こんな化け物じみたチート能力を持っている僕よりアレーヌの方が強いんだよ?近接戦闘なら。僕が向ける魔剣を全て天剣でなぎ払い、僕にちゃんと攻撃を届かせてくるんだ。化け物だ。
流石に遠距離なら僕が勝つけど。魔法使いが剣士に遠距離で負けたらダサい。アレーヌを相手に遠距離で勝てる魔法使いなんて僕以外に知らないけど。
「さて。古龍も倒したことだし。帰りますか」
「そうね」
「よっと」
僕はアレーヌをひょいとお姫様抱っこで持ち上げ、空を飛ぶ。
「ぐふふ」
そして、古龍の死体も持ち上げる。
ついでに古龍もどきも。
僕は冒険者ギルドがある方向へと向かった。
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