第22話

「行くよ」

 

 僕はとりあえず魔法を同時に100個くらい発動し、古龍へと向ける。

 炎、水、雷、風、岩、氷。

 多種多様な魔法の数々が古龍へと襲いかかり、その強固な鱗に傷をつけていく。

 だがしかし、魔法攻撃を受け付けないと語り継がれている古龍なだけはあり、たくさんの魔法を撃ち込まれているはずなのにあまりダメージが入っていないようだった。流石は古龍だ。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

 

 古龍が僕に向かって突撃してくる。

 あまり速くはないので軽々と避ける、が……


「うぉ!?」

 

 僕は慌てて結界を張る。 

 いきなりとんでもない速度で僕に向かって迫ってきた龍の尻尾を全力で防御するためだ。

 へぇー。本当は速く動けたのに、尻尾での不意打ちをするためにあえてゆっくり僕に向かって突進してきたのね。……結構頭は良さそうだ。


「のっと」

 

 古龍の一撃は僕の結界を破壊するほどの威力はなく、何のダメージも喰らわずにその場から離れる。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああ」

 

 そんな僕を追撃するかのように古龍は口を大きく開き、炎のブレスを僕に向かって放つ。

 

「……っ」

 

 古龍のブレスの攻撃力も範囲も一級品。逃げられないし、ブレスが徐々に僕の結界へとヒビを入れていく。

 

「転移」

 

 僕は魔法で空間を跳躍。

 古龍の上空へと場所を移す。


「天陰氷羅」

 

 陰る。

 上空に浮かび上がる万を超える数多の氷柱が太陽を塞ぐ。


「行け」

 

 数多の氷柱が古龍に向かって落ちる。

 氷柱は何度も何度も量産され、決して古龍への攻撃を緩めることはない。

 古龍の鱗を砕くほどの力は持っていない様子であるようだが、古龍を押し込み天から地上へと押し込んでいく。


 ダンッ

 

 そして古龍は地面へと叩きつけられる。


「ほい」

 

 そして、僕は僕が使える最強の封印術を発動させる。

 空から数多の巨大な鳥居を落とし、古龍の動きを完全に封じる。

 後は僕の一方的な戦いだ。


「どこまで耐えられるかなッ!」

 

 多種多様な魔法がひたすらに古龍へと降り注いでいく。

 だがしかし、僕の魔法は古龍の鱗を貫くことは出来なかった。

 

「うーん。やっぱり無理かぁ」

 

 僕は一人言を漏らす。


「『我は王、この世を統べし神なり』」

 

 魔力が。僕から漏れ出した魔力が空間を大きく歪める。

 僕は何もない虚空から一振りの剣を取り出す。


「斬り裂け」

 

 僕はその剣を一振り。

 たったそれだけ。たったそれだけで古龍の首が切り落とされた。


「あー、結局切り札切らされたか」

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