第17話
「ありがとうございましたー」
僕は商人に向かって頭を下げ、別れる。四人の冒険者たちともだ。
四人の冒険者たちはこの町で挨拶しに行かなくてはいけない相手がいるらしく、冒険者ギルドに行くよりも前にその自分に会いにいくらしい。
なので、僕とアレーヌさんはみんなと別れ、二人だけで冒険者ギルドに向かった。
■■■■■
「依頼の達成。……確認致しました。お疲れさまでした」
「はい」
僕とアレーヌさんは受付嬢さんから依頼達成のお金をもらい、受付嬢さんの元から離れた。
そして、僕とアレーヌさんは依頼の書かれた紙が貼られている掲示板へと向かった。
「どの依頼を受けますか?……一旦ここらへんで大きな依頼を受けて大金を稼ぎますか?」
「ふむ……そうだな」
アレーヌさんは少し考え込む。
そして、アレーヌさんは僕の方へと視線を向ける。
「ゼロはどうしたい?」
「僕、ですか?」
「あぁ。そうだ。もう私とゼロは上司と部下の関係ではないのだ。私たちは対等な立場。敬語だって使わなくていい。……アレーヌと呼び捨てで構わない」
「……なるほど。わかった。じゃあこれからは敬語も辞めてアレーヌと呼ぶよ。僕的にはここで大きな依頼をこなしたいな。そっちのほうが後々楽になるだろうからね」
僕は自分の考えをアレーヌに伝える。
しかし、アレーヌは何故か僕にそっぽを向いていた。……アレーヌ?
「え?何?どうかしたの?」
「……しばし待て」
「う、うん?」
僕はアレーヌにそう言われ、まぁ意味はわからなかったけどとりあえず従った。
「よし。大丈夫だ。大きな依頼だな。そうしよう。うん」
アレーヌが僕の言葉に頷いた。
……どうしたのだろうか?
「どれをやろう?」
「そうだねー」
僕は掲示板を眺める。
掲示板にはたくさんの依頼の紙が貼られていた。
「これなんかどうだろうか?」
アレーヌが一つの依頼を指差す。
そこに書かれていたのはこの掲示板に掲載されていた依頼の中で最も高難易度の依頼。古龍の討伐の依頼だった。
「いいんじゃない?依頼金も高いし、それに古龍とも戦ってみたかった」
僕はアレーヌの言葉に賛成の意を示す。
古龍。
それは騎士団にいた頃から聞いていた存在だ。
アレーヌの一つ前の騎士団長はこの古龍と戦い、敗北。戦死している。アレーヌは今、騎士団長じゃないけど騎士団の汚名をすすぐ良い機会かもしれない。
国の上層部からは古龍と戦わないように要請が出ていて戦えなかったんだよね。
僕とアレーヌさんはその依頼を剥がし、受付嬢の元に持っていた。
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