第15話

 野営地の準備が終わり、暇になった夜。

 僕は魔法使いの子と僧侶の子に魔法についての続きを教えていた。


「この世界のもの、現象は全て魔力によって引き起こされているんです」


「え?そうなの?」


「はい」

 

 この世界と前世の世界、地球では何もかもが違う。

 雷という例えを出して言うと、

 地球雷では雷が発生する理由を、高い空にのぼっていく氷のつぶと、地面に向かっておりていく氷のつぶがぶつかり合うことで、静電気が発生して、雲の中にどんどん電気がたまっていくんだ。そして、雲はためられなくなった電気を地面に向かってにがそうとする時に雷が発生する、と科学的に説明される。

 しかし、この世界では雷は魔力によって引き起こさられる、と非科学的に説明される。そして、この説明はこの世界では科学的な説明より信憑性がある。この世界雲ない所でも雷落ちるし。全然電気溜まっていないときに、唐突に落ちるし。

 この世界と地球とでは自然法則が全く異なる。

 流石は異世界。


「この世界はたくさんの魔力によって満たされています。世界の魔力を私たちは世界魔力と安直に呼んでいるのですが、この世界魔力が雨や、雷を引き起こしているんです」


「なるほど」

 

「それでですね。僕たちが持っている魔力で、世界魔力に干渉することによって魔法が引き起こされます。この世界の全ては魔力によって引き起こされる。故に世界魔力に干渉して使われる魔法は全てのことを引き起こせるのですよ。自分が世界をこうしたいと願い、世界魔力に干渉した時、魔法が発動するんです。さっきは、魔物が僕の半径30mに入ったら即死するという魔法を使っていたんですよ」


「なるほど」

 

 二人が納得言ったような表情で頷く。


「あれ?」

 

 そしてすぐに魔法使いの子が首を傾げる。


「じゃあ詠唱と魔法陣って何なの?」


 魔法使いの子は疑問を口にする。

 

「あぁ、そうですね。魔法陣の方が簡単なので先に説明してしまいますね。魔法陣とは自分の魔力で世界魔力に干渉したときに現れるものなんですよ」 

 

 まぁプログラムみたいなものだ。

 プログラムだなんて彼女たちに言っても伝わらないから言わないけど。


「それで次に詠唱ですが、これもまた簡単で本来は要らないものなんですよ」


「え!?要らないの!?」


「はい。現に僕は一度も詠唱を口にしていないでしょう?」


「あ……」


「じゃあ詠唱とは何なのかというと、簡潔に言うとイメージの補填ですね。詠唱を使うことで自分のイメージじゃない他者のイメージを使うことが出来るんです。過去に詠唱を考え、使った人の詠唱を告げることで、世界魔力に刻み込まれている記憶を呼び覚まし、魔法を発動させる。これが詠唱。詠唱魔法なのですよ」

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