第14話

「……一切魔物が現れないな」

 

 商人の護衛任務から早一時間。

 剣を持っていた少年の一人がぼそりと呟く。

 魔物。

 それはこの世界に存在する生命体。全ての生きとし生きる者の敵。

 魔物は何故か生きている魔物以外の生物に襲いかかるのだ。その数も非常に多く、人の開発の手が伸びていない場所ならポンポンと魔物が湧いてでてくるのだ。


「ん。あぁ。それなら僕の魔法による効果ですね」

 

 僕は少年の言葉に答える。

 

「ま、魔法……?」

 

 僕の言葉に四人が食いつく。

 特に魔法使いの子と僧侶の子が。 


「うん。そうだよ。君たちは魔法が何なのか理解している?」

 

 僕は四人に聞く。


「いや全然知らないな」


「うん」

 

 男の子の二人組は僕の言葉に首を横にふる。


「魔力を力に変える?」


「神による奇跡です」

 

 魔法使いの子の自身のなさそうな答えと、僧侶の子のはっきりとした答え。


「……まぁアルマ教会の人間であればそう答えますよね」

 

 僕は僧侶の子の答えに苦笑を浮かべる。


「今から話すことはまぁなんですか。話半分に聞いていてください」

 

 あらかじめ予防線を貼ってから話し始める。


「人はですね。体内に剣を持っているんですよ」


「……剣?」

 

 僕の言葉に魔法使いの子が首を傾げる。まぁ、そういう反応になるよね。


「アレーヌさん。見えてあげてくれませんか?」


「うむ。いいだろう」

 

 アレーヌさんが内なる魔力を高め、そして、その力が極限にまで高まった時。アレーヌさんの前に一振りの剣が出現する。


「まぁこんな感じでですね。人は体内に剣を保有しているんですよ。そしてですね。この剣が魔力の素。剣から漏れ出る力のことを私たちは魔力と呼んでいるんですよ。ちなみにこの剣のことを我々は魔剣と呼んでいるんですよ」

 

 実際に剣をアレーヌさんみたいに具現化出来る人は少ないんだけどね。僕も出来ないし。


「この世界には、鉄で出来たものだったり、ミスリルで出来たものだったり。様々な材質によって剣が作られているでしょう?それと同じように魔剣の材質も個々人によて変わります。それが属性となって現れているんですよ」


「な、なるほど……」

 

 魔法使いの子が納得したように頷く。


「その剣こそが神よって授けられた奇跡なのです!」

 

 そして、僧侶の子が自信満々に告げる。


「それで魔法の発動についてなんですが……」

 

「あぁ。話の途中にすまんね」

 

 僕がこの先の話をしようとした時、業者の席に座っていた商人さんに声をかけられる。


「ここを野営地としたいんだ。手伝ってくれるかい?」


「えぇ。もちろんですよ」

 

 僕は商人さんの言葉に頷いた。

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