第13話

 次の日。

 僕たちは依頼に従い、待ち合わせ場所に来ていた。

 待ち合わせ場所にはおそらく商人と思われる太った人に、新人冒険者だと思われる線の細い少年少女四人組がいた。

 剣を腰にかけた男の子、鎧を着て盾も持っている男の子。杖を持った女の子に、僧侶と思われる女の子。

 バランスの良い四人のパーティーだ。だけど、まだまだ若くあまり経験は積んでいなさそうだ。年齢は多分僕と同じくらいかな?

 

「……」

 

 それを見てアレーヌさんが無言で表情も変えずに、だけど明らかに不機嫌というオーラを見せていた……もしかして、依頼内容をしっかりと見ていなかったのかな?


「どうも。おはようございます。えっと……依頼主であっていますか?」

 

 僕は商人と思われる人に話しかける。


「なっ!?騎士団長様に副騎士団長様!?これはこれはご無沙汰しております。……それで何のようでしょうか?」

 

 僕とアレーヌさんを見て商人と思われる人は驚き、僕たちに頭を下げる。


「あぁ。僕たちはもう騎士団長でも副騎士団長でもないですよ。僕たちは騎士団を辞めたので。僕たちは冒険者になったんですよ。それで依頼を受けさせてもらったんです」

 

「なっ……。そ、それはそれは。心強いですね」


「えぇ。必ず守ってみせましょう」

 

 僕は商人さんに向けて力強い言葉をかける。

 まぁ僕とアレーヌさんを倒すのであれば神話上の神様レベルでも引っ張ってこないといけないだろうからね。

 アレーヌさんは最強だし、僕も条件次第じゃアレーヌさんに勝てるし。


「えぇぇぇぇ!?あの伝説の騎士団長様!?」

 

 同じ依頼を受けたと思われる冒険者のうちの一人の男の子がアレーヌさんに尊敬の眼差しを向ける。


「あぁ」

 

 それに対してアレーヌさんはちゃんと頷く。


「同じ依頼を……?」


「はい。そうですね。同じ冒険者としてよろしくおねがいしますね」

 

 僕はその少年の言葉を肯定する。


「えっと。自分たちが最後でしょうか?」


「あぁ。そうだな。私は君たち2パーティーだと聞いている」


 ……なるほど。依頼主より遅く来たのは不味いな。

 次にこういう依頼が来たら待ち合わせ時間よりも早い時間に来ることにしよう。


「時間もないことだ。早く行くとしようか」

 

 商人と思われる人の言葉に全員が頷き、商人のと思われる馬車にみんなで乗り込んだ。


「あ、自分が馬車の操縦を致しましょうか?」


「いや、大丈夫です。私が行いますよ」


「すみません。出過ぎた提案でした」


「いえいえ。構いませんよ」

 

 馬車が商人と思われる人のもと動き出した。

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