第10話
僕はギルドマスターとともに二階にある、ギルドマスター室にやってくる。
「やぁ。お久しぶりですね。ギルドマスター。一ヶ月ほど前に僕が騎士団からの依頼を持ってきて以来でしょうか?」
「……あぁ。そうだな」
僕の言葉にギルドマスターが頷く。
それっきりギルドマスターが黙り込んでしまい、僕たちの間に沈黙が走る。
「……何が目的だ?何をしようとしている?」
ギルドマスターは若干手を震わせながら僕に尋ねてくる。
「あぁ。別にそんなに緊張するようなことじゃないんだけどね」
僕はそんなギルドマスターに苦笑しながら告げる。
「覚えている?僕さ。昔から旅に出たいって言ってたじゃん?」
「あぁ。そうだな。冒険者になりたいという話は聞いていたが……」
「僕はそれを実行に移しただけだよ。……騎士団を辞めるって言ったらアレーヌさんがついてきちゃっただけで……別にギルド側の情報を盗もうとしているわけでも、何かの任務で来ているわけじゃないよ。本当に。……なんで、ついてきているんだろうね。アレーヌさん」
「そ、そうか……」
僕の言葉にギルドマスターは頷く。
「さて、本題に入ろうか。ここ、冒険者ギルドではパーティーに僧侶を入れなきゃいけない。でも、それは義務じゃないだろう?」
「……それは建前の話で、実際は義務だ」
「そうだね。でも義務と言っているわけじゃない。暗黙の了解でしかない。ならイレギュラーを出してもルール的には問題ない。君たち側としても僕とアレーヌさんを冒険者として抱えることはいいことだと思うのだけど?」
「……まぁそうだな」
「僕としても足手まといは要らないんだ。多分だけど、僧侶をつけるというのなら僕らは冒険者とならないで世界各地を回るだろう。たとえ犯罪者となっても」
「……っ!!!」
僕の言葉にギルドマスターは固まる。
僕とアレーヌさんは色々と規格外だ。
犯罪者となり、世界中で指名手配されたとしても何も困らない。僕ら二人に勝てる存在なんていないのだ。本当に規格外なのだ。
「どうだい?僕らを冒険者にするか。しないか。どちらにする?」
「……いいだろう。お前らを冒険者とし、認めよう」
ギルドマスターは項垂れ、告げる。
僕ら規格外を相手に交渉なんて無意味なのだ。
「オッケーありがと」
僕は席から立ち上がる。
「ごめんね。何の譲歩もしてあげられなくて。じゃ」
「なっ!?」
部屋を出ていく寸前に告げた僕の一言にギルドマスターは固まる。。
うーん。どうやって長距離の連絡をとっているのだろうか?スマホでもあるのかな?魔法はまだまだ奥が深い。
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