第9話

 冒険者ギルド。

 冒険者ギルドとは言ってはいるものの、その実態はただの教会の下部組織だ。 


 アルマ教会。

 この世界に存在する一大宗教だ。最も強い力を持っているこの宗教なのだが、この宗教の教えには平和に関するもあり、戦力を保持することが許されていない。

 なので、冒険者ギルドという別の組織を作ったのだ。表向きにはアルマ教会と何の関係もない組織。だが、その受付嬢さん、ギルドマスター、グランドギルドマスターなど。事務方の人たちはみんなアルマ教会関係の人間なのだ。

 冒険者とは自由に動き、冒険をする者。

 冒険者とはアルマ教会のなんかあった時のための戦力。

 アルマ教会という一大宗教の下部組織であるからこそ、国であっても強く出る事はできないし、国を越えた組織となっているのだ。


 僧侶。

 奇跡を起こし、人を回復させることが出来る人間であり、僧侶は皆アルマ教会の人間である。

 冒険者のパーティーには必ずこの僧侶が入れられる。

 なので、ソロでやろうとしても必ず僧侶とのツーマンセルになってしまう。

 一応僧侶が入れられる理由としては、冒険者の皆さまを助けられるようにとあるが、ただの監視、縛りだ。

 冒険者たちをアルマ教会の思惑通りに動かすためのシステム。

 なので、これを断るなんてことあっちゃならないのだが……。


「要らない」


 アレーヌさんは平然と断った。


「……え?」

 

 そりゃ受付嬢さんも固まっちゃうよね。うん。


「いや、そういうわけには……」


「そういうわけにはいかないことはないだろう。私たちが怪我をすることなどない。この国の最強二人だぞ?むしろ足手まといを抱えた方が怪我をする」


「いや、ですが、そういうわけには……」

 

「じゃあ仕方ない。では、僧侶として出す条件だが、時速100kmで走れる。ぐーで大岩を粉々に出来る。ジャンプで雲を超えることが出来る。他にはだな……」


「いやいや!そんな人いるわけ!!!」


「私たちは軽くこなすぞ?これでもまだ譲歩したほうだ。私たちはもっとすごい」


「……ですが!」

 

 受付嬢さんはもはや瞳に涙すら受けべて食い下がる。


「あぁー。ごめんごめん」

 

 僕は話に割って入る。

 

「ちょっとギルドマスター呼んできてくれない?君と話すよりもギルドマスターと話す方が良いと思うんだ。そう思うよね?」

 

 僕はちらりと奥にいた強面の男に視線を送る。


「……あぁ。そうだな。ここからは俺が引き継ごう。二階に来てくれ」


「はい。僕が行くので、アレーヌさんはここで待ってて」 

 

 僕はギルドマスターについていった。

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