第6話

 アレーヌさんは決めたら即行動。とんでもないくらいの速度で行動していた。

 僕は割とドン引きした。

 僕と一緒に旅に出るということは騎士団を辞めるということ。

 その決断に何も迷わない。もうすでに部屋の家具類は全て壊して粉にして袋に詰めていた。捨てやすくなったんだそうだ。

 ……家具を壊して粉にするってなんだろうか?まぁ僕でも出来るけど。

 

 次の日の朝。

 一切迷わず、騎士団を統括している国防大臣のもとに向かい、騎士団長の証である剣と鎧を返却した。


「……え?」

 

「騎士団長を辞めさせてもらう。それでは」


「……え?」

 

 国防大臣は呆然としている。

 わけがわからないと言った表情を浮かべている。心中お察しします。

 まぁ僕は何もしてあげられないけど。


「ちょっと待ってぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええええええ!!!」


 国防大臣が我に返り、絶叫したときにはもう遅い。

 その頃にはすでにアレーヌさんは部屋を出ていた。アレーヌさんにも聞こえているはずだが、振り返らないし、戻ってこないだろう。

 部屋に残されたのは僕と国防大臣。


「こ、これは……?」

 

 国防大臣が僕にすがるような視線を向けてくる。

 しかし、僕はその期待に何も答えてあげられない。


「す、すみません。あ、あと僕も騎士団辞めるのでよろしくおねがいします」

  

 むしろ死体蹴りになってしまう。


「……は?」

 

 完全に固まってしまった国防大臣を部屋に残し、外に出たアレーヌさんを追う。

 別に副騎士団長には特には何も与えられていないので、言うだけだ。


「遅いぞ?何をしていたのだ?」


「いや、僕も辞めるってことを一応話しておかないと」


「なるほど。お前もいちいち律儀だな。それで?これからどうするんだ?」


「ん?あぁー。冒険者ギルドに行って冒険者になろうと思っているよ」


「なるほど……それでは冒険者ギルドに行こうか。あ、少し待ってくれ。鎧と剣を買わなくては。お前もいるだろう?騎士団に与えられる鎧はもうないのだから」

 

 騎士団長以外の騎士団員には全員同じ鎧を渡される。僕はそれをすでに武器庫の方に返してきた。

 

「あぁ、いや。僕は大丈夫。鎧ありより鎧なしのほうが強いから。僕ってば魔法が得意なスピードタイプだから」


「む。そうか……」


「うん。それじゃあまずは武器屋に行ってから、そのあと冒険者ギルドに行くってことで」

 

 僕とアレーヌさんは王城を出て、街の中へと繰り出した。

 あ、武器屋でアレーヌさんは剣と鎧を。僕は武器屋で投げナイフや煙幕。目についた面白そうなものを買ったよ。

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