第6話 おしゃべりはひらめき

「すげえ、全く生産性がねえ」


コピン様のつぶやき…どうしたのだろう?


「なんで女ってのはこうもおしゃべりができるんだ?」


いや…女性のおしゃべりをなんで盗み聞きしてるんだこの人は


「っていうかさ!まあ話すネタを用意してたりさ、最近面白い出来事があったとかならわかるけどさ!こいつらひらめいた話題そのまま速攻で話していくんだけど!?俺が与えたひらめきも一瞬で消費されていくんだけど!?ほんとになんなん?俺ってずっと人間界見てたけどマジでいつの間にか女ってこんなことになってて着いていけん!!」


「コピン様落ち着いてください。器の小さいキレかたしてます」


客観的に見たら勝手に女性の話を盗み聞きしてその内容に勝手に怒っている神様だ。

そしてその神様が私の上司なのだ…泣きそう


「ひらめき与えてる俺の気持ちにもなれよ…」


「いやあなたおしゃべりにも手を出してたんですか?」


「だって一番ひらめき与ええる仕事が速く終わるから…」


「理由が酷いです。でもそれなら別に問題ないのでは?むしろ女性がおしゃべりしてる方がコピン様も仕事が速く終わるわけで」


「なんか俺の与えたひらめきの扱われ方がぞんざいでむかつく」


「子供ですか?」


「んなことねえよ、ワヤだってレストランの厨房が頑張って作ったハンバーグを客が半分以上残してたの見て心痛めてただろ?それと一緒だよ…もっと大事に扱えよ俺の与えたひらめき」


「いや…確かに微妙に分かりやすい説明ですけど…」


「は~まあ情報量が多いからな~今の時代は」


「それに関しては間違いないですね、本や新聞等の紙媒体で情報を得ていた時代も結構なものでしたがネット等のデジタルで情報を見れるようになってからは、はっきり言って異常な情報量です」


「うん、特に俺はこの変化を感じる」


「そうですね…コピン様のひらめきはその人の記憶、知識の断片から作り出されますからね」


「そうそう、出来ることが増えたととるか一人一人の脳を読み取るのが大変になったととるか…」


パチンッ


話しながらもさらっとひらめきを与えるコピン様。

この人…こうやって普段のひらめきを与える仕事終わらせてたんだな…


「そういえばさ、あの子がまたドラマ主役やるって!」


「ほんとに~!観なきゃ~!」


「そうそう、前もかっこよかったよね~今回は官僚役だったはず」


「スーツ姿観れるかも?」


「いいよね~スーツ姿、でも私は意外と和服系が好きで…」


「あ~夏祭りとか眼福だよね。わかるよ」


「でしょ~」


話がどんどん進んでいく…


「コピン様…ひらめきって多分ドラマの話を思い出させたことですよね?」


あっコピン様が無の表情になってる。


「そうだよ…ドラマの話、内容とかに話広げろよ…なんでスーツかっこいいから着物、夏祭りって話が進むんだよ…」


なるほど…こういうことでコピン様はイライラしてたのか。


「ならいっそ他のところにひらめきを与えればいいじゃないですか」


「やだよ時間かかるしめんどいし、さっさと終わらせることが大事なんだから…」


「よくそのいい加減さで仕事の達成感まで求めましたね…」


パチンッ


さらにひらめきを与えるコピン様。ペース早。


「夏祭り行ってみる~?ちょっと電車使うけどあるよね近くに」


「え?そうだっけ?よく覚えてるね」


「うん、なんか急に思い出した」


「いいじゃん、日程調べようよ」


「おけおけ、あっあった。私は空いてる日かな…」


「う~んでも私も夜なら…少し遅くなるかもだけど」


「いいよ全然。浴衣着てく?」


「私持ってないな~」


「私もだよ~呉服屋寄ってみよっか」


「そうだね~」


「ところでさ…」


あっこれは…


「ところでさ、じゃねえよ!完全に話シフトするじゃねえか!!」


「んっふふふっぐふふ、けほ、すいません」


やばい、なんか面白い。コピン様の思い通りに行かない感じがツボだ。

笑いすぎて、笑いをこらえすぎておなかと表情筋が痛くなってきた。


「女性は確かに会話が上手なイメージですが…それでは男性の方にひらめきを与えてみては?」


「男は普通に会話が下手だから聞いててつまらん」


「いや…そんなことない人もちゃんといますよ?てか盗み聞き前提ですか?!」


「人聞き悪いな、これも仕事だ。あと話すのが上手い男がいるのはわかってる。そういうやつはマークしてひらめきを消費している」


「わざわざマーク…」


「話を広げれるやつというのは話が上手な奴だ、小さいことでも話題にできる程には良く周りを見て、知識、経験があるということになるからな。それでも話が薄くなっている…」


「一つ一つについての掘り下げがあまりない…ってことですか?」


「そうそう、色々な話をしたのはわかるけど…もう少し深いところまで話すことで得られる人の考え方とかもあるのにな…もったいないものだ」


パチンッ


そう言いながら再度ひらめきを与える。マジで適当だな。


「ね、見て。気づかなかったけどあの人かっこよくない?」


「わっほんとだ。そんなことよりさ…」





「そんなことよりさじゃねえよ!!!!話せや!!」



もう…ムリ…面白すぎる…


――あとがき――

ちょっと不憫なコピン様。神様も一応苦労してるんですよ。

意見とかあったらコメントへどうぞ~。

作者の知見が増えますので。


下記の作品をメインで連載しています。こちらも応援してください。

「魔法スポーツ、青春と戦争 ~「纏う」が使えるだけで事件おきすぎじゃね?~」https://kakuyomu.jp/works/16816927859808203215

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る