第5話 お金とひらめき

コピン様がいつになく真剣に人間界を見ている。やっと改心したのかな?

そう思ったが当然そんなわけはなかった。


「よっしゃ~ぼろ儲け、株で稼ぐやつが出てくるのもわかるわ~」


「そりゃそうでしょう、コピン様なら余裕で当然です」


「ん?神力は使ってないぞ?使ったらつまらん」


…なんでそんなところは真面目なんだこの人。いやこれは真面目というのか?


「どこがどう伸びるのか、人間共と同じ情報レベルになって考えると結構面白いぞ?」


「はあ…このコピン様の稼ぐ力を貧しい人たちにあげれたらいいのに」


「う~んどうだろうな…環境の問題もあるからなそういう地域は」


「確かに…お金に関しては人間の悩みとしてずっとありますよね」


「いつ思考を読み取ってもあるな。飽きたわ」


「切実な問題ですよ。お金に不自由ない人はともかく苦労している人は特に」


「まあな…でも金持ちが楽ってわけでもないがな」


「ん?それは力を持つものの責任って話ですか?お金も言い換えれば財力ですし…確かに力の一種ではありますが」


「おー成長したねワヤ。それに加えて力を持つと敵ができるからな。財力なんて特にわかりやすく妬みの対象だろ」


「そういうことを考えると普通が一番なのでしょうか?」


「そう言われるとな~難しいよな~。稼げる奴は少なくとも何か実力を持っている人だし…全員が普通になられてもな…」


「何か秀でている人というのは必要ですよね」


「うん、俺とかね」


「さてと、そうなると今日は誰にひらめき与えます?話の流れ的に貧しい人か裕福な人かですか?」


「え?俺が優秀って話の流れどこいったの?まあいいけどさ…」


ちょっとしょげながらも人類の思考を読み取っていくコピン様。

やはりお金関係は難しい。それはコピン様ですら思うこと。


「か~!お金欲しいって思考は腐るほどあるが具体的な方法とかまで考えてるやつがほとんどいねえ!そんなんじゃなんもできん!」


「ふう…いないわけじゃないんですけどね…方法とかまで考えてる人はほとんど既にお金に不自由ない人たちだから…」


「よしこうなったら俺の支配下にある人間を作り出して…」


「ダメです」


「なんでだよ!」


「干渉しすぎ問題と倫理問題!!」


「そうなると…やっぱ環境だよな~国レベルの差がでかすぎる」


「これはそう簡単には手が出せないですね」


「たまにサクセスストーリーみたいなのが出てくるがあれはごく一部だからな…だがそういう人は苦労している人だから募金やボランティアも意外とできるんだよな…」


「あ~。すごい単純な発想で理想論ですけど裕福な人から貧しい人に流していくのは一番貧富の差をなくすことにはなりますからね」


「まあな、だからその理想論を打算があるとはいえ実践できてる人は貴重だ。偽善だとかそんな話すら小さいくらいな」


コピン様が真面目な話をしている…どうしたのだろう?


「というわけで…珍しく俺が正解の一つを見せてやろうかね人間共」


パチンッ


そう言ってコピン様はある人にひらめきを与える。

見たところ裕福でも貧しくもない普通の人だ。

その人の思考を私も見てみた。


「はあ、また貯金できない…もうなんでだろ…。いや待てよ…必要経費としてあまり見てこなかったところを減らせれないか?家賃は一定だが…保険とか。てか会社の福利厚生にそんなのなかったか?書類残ってるかな…それに見直すとコンビニ飯が多いな…自炊すれば減らせる?余計なものを買わないようにもできるし…」


これは…


「貯める方法ですか?」


「そう、稼ぐんじゃなくて貯める。使うのが減れば当然お金は増えるし、何に使うかによって満足度も変わる。」


「まあ、ド正論ですね」


「節約しよう、貯めようと思っている人はいくらでもいるし家計簿付けていたりもするだろう。しかし…そこから具体的にどこを減らすかまでしっかり自分のお金の使い方を見直せれば…十分だろう」


ごもっともだ…あのコピン様が…ボケを挟まない…?


「コピン様…何かありましたか?てか本当にコピン様ですか?」


「どういう意味?」


「いえ…なんでもないです」


どうなっている…?


「よし、今日は十分だな。ワヤもしっかり休んどけよ~俺も寝る」


「はい…」


私にも休憩を勧めた?他の人?いや、他の神に気遣い?コピン様が?


「ふっふふ、疑ってるなワヤ。いつになく真面目な俺に困惑している。そして真面目なお前は疑いながらも俺の言った通りに休憩に入るだろう。そしたら俺はこっそり人間界に遊びに行ける…この稼いだ金持って豪遊しまくるぞ~。あんなことを言ったがやはり人間界において金はでかいな。やりたい放題だ。俺は何でも作れるが、人間に囲まれ、会話をし、低レベルさをあざ笑う面白さは人間界にしかない!」


「はあ…」


「ん?げ!?ワヤ!?なんで?てか勝手に俺の部屋入るなよ!!!」


「コピン様…やってることがお願いごとがあるから良いことしようとする人間の子供とほぼ変わりません…」


「ワヤ!休めと言ったのを聞かなかったのか?」


「…すいません、ただ命令違反した甲斐がありましたよ。とりあえずその人間界のお金は没収します。あと人間界に行くのもダメですよ?シールド張りますね。出たらすぐわかりますので」


「な…」


「それでは私も休ませてもらいます。失礼します」


私はコピン様の部屋から出た。

すると…


「ぐわ~!!!なんでだ!!?ワヤのやつ!こういう時だけ勘が良い!俺の努力が…今日1日、真面目なキャラで行くのがどれだけ大変だったと思ってるんだ!?」


コピン様の部屋から叫び声が聞こえた。


「♪~」


してやったり。


今日は良く寝れそう。










「おら~!たとえ1000円からでも稼いでやる!!神力で未来を見て…」


うるせえ…寝れねえ…


――あとがき――

お久しぶりです。

今回は真面目に…いきませんでした~コピン様はコピン様で~す

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「魔法スポーツ、青春と戦争 ~「纏う」が使えるだけで事件おきすぎじゃね?~」https://kakuyomu.jp/works/16816927859808203215


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