第2話 テストにひらめき
「ふふふふ~みんな頑張ってるな~」
「珍しいですねコピン様。人間界を楽しそうに」
「このあたりは受験というやつでな、皆が悩み、苦戦し、ひらめかないかと苦悩しているのだ」
「それ見て笑ってるのは趣味悪いですよ?」
「神ならいいんだよ、ほらあいつとか」
そう言ってコピン様は顔色を悪くしているその子の脳内を読み取る。
「数学の問題ですね、自信のある教科だからこそできなくてかなり困ってますね。てかまさかひらめかせる気ですか?」
「ん~?どうしようかな」
「あの子を受からせるということは他の子を落とすということですよ?そんなことあなたの気まぐれで決められたら…」
「んなこと言ったらよくある昔の偉人の神からのお告げが聞こえた~みたいな話は全部別の神の気まぐれだぞ?」
「それはそれでどうなんですか!?」
パチンッ
「え?マジでひらめかせたんですか?力の使い方…」
すると先程の数学に四苦八苦してた子が
「さっきの英語も過去問よりダメだったのに、数学もダメなんて…mathでますますだめに…」
とか考えているのが私の頭の中にも流れてきた。
「なにしてるんですか?!こんな時にダジャレ?!」
さっきの子も
「mathでますます…くっくっくっく…」
「ほらあ!完全に集中できてないじゃないですか!これで落ちたらコピン様のせいですよ?てかそんなに面白くないです!」
「ひらめいちゃったんだもんな。まあ大丈夫だよ、試験結果は変わらねえ」
「え?それはどういう?」
「今回のテスト少しむずいらしいからな、出来が悪いのも当然。周りもできてねえんだから。あの子に関してはそこら辺をちゃんと見抜けてないな。自分ができないならほかの子もできないくらいになんで思えないかね」
「コピン様ほど堂々としている人間はそういないですよ。じゃああの子受かるんですか?」
「うん、まあまあ上位で。頭の良さよりメンタルとかしっかり問題と周りを評価する力とかを養った方がいい気がするけど…まあ学校でそこらへん学べたらいいな、無理だろうけど。」
「なんだ…よかった…」
「じゃあああいう子をもうちょいいじろうぜ~。ワヤみたいなくそ真面目系ほどいじるのは面白からな」
「ちょっと!?」
「なんだよ?普段はひらめき神としてしっかり働け~とか言ってるくせに」
「今の勤務態度がしっかりとでも?間違いなく大暴れじゃないですか」
「いいじゃ~んそれが許されるのが神だし」
酷い人だ…まじで余計なことを吹き込みだした。
よくあるような友達とふざけあいながら余計な情報を増やすのではなく、本当に脳内に伝えるのだからタチが悪い。
力を持つものの責任とやらは一体…
「お?こんな問題でつまずいてるのか、まだまだだな~人間は」
なんか言い出した、神様が受験問題見て人間を見下すことある?
「言語なんて使われ始めた時から追ってれば別に難しくないし、数学とかも…確率?くじびき?俺が引く時点で100%だ」
もはや解いてない、神の力フル活用である
「人間のレベルで話してください、何億年も生きてる人間もいなければ確率操作できる能力者もいないんです」
「不便な生き物だな~だからこそ見てて面白いんだけどな」
「ていうか…コピン様…まさか…普通に解けないのですか?」
「はあ?んなわけないじゃん。世の中の大発見におけるひらめきを与えてきたのは俺だぞ?てか人間がわかるように数字とか文字に起こしてやってるだけ感謝しろよ俺に。これだから人間どもは。」
「初耳ですよ、え?そうなの?」
「そうだぞ?だから人間界で有名な言葉があるだろ?『整数は神様の作ったものだが他は人間が作った』みたいな。んなわけあるか、整数作ったのは俺だしそこから発展させた人間のひらめきは全部俺が与えたやつだわ!1~10まで俺が作っとるわ!わざわざ俺は感覚で分かるものを人間語に直してやってんだぞ?受験問題程度でつまずくわけないだろ」
「想定の1億倍くらい人間界に干渉してません?」
「まあな、おかげでだいぶ人間の力は進んだ、科学の発達もめまぐるしい。俺の力の外で大発見をする奴すら現れた。そして暴走するやつもな」
「暴走?ああ、核とかですか?」
「そうだ、戦争を通して科学が進んでしまった。その結果兵器として、攻撃の科学が大幅に先行した」
「あっ言われてみれば…防御が追い付いていない…実際は人間は危うい立ち位置にいる…」
「そうそう、で、受験の話に戻るけど、あれ何のためにやってると思う?」
「は?いやそりゃ、より優秀な人をとりたいっていう…」
「違う」
「は?」
「勉強というものはそんなんじゃない、特に学生レベルならな。目的は一つ、興味を持たせることだ。いらない学問なんてない。古典に興味を持ったものも、数学に興味を持ったものも、最初は教育によって入り口が開くんだ。『拙者は~』みたいな口調が気になるとか、おはじきを数えてみましょうとかからな。そういうやつらがよりその分野を発達させる。核とかも含めてな」
「なるほど…では受験というのは…」
「その熱意と才能、努力を測るものだ。色々な教科をやるのは色々なヒントをそこから拾えるからだ。関係ないなど想像力に欠けたものの戯言だ。過去の偉人は何でもできる完璧超人が多かった?当然だ。そういうやつらは他のところからヒントを持ってこれる。そうじゃないと俺がひらめきを与えられんからな。思いつきうる下地というのが必要になる」
「…」
「まあ今の人間はそんなの意識してる気がしないがな。いつ自分たちは、人間という生き物は既に窮地にあると気づくか…学問も廃れたものだ」
「コピン様が熱心に受験の時人間界を見ているのはそれを、人間の今後を憂いてるのですか?」
「いや、面白いから」
「…いい話だと思ったのに」
考えが深いのにやることと動機が浅い…
「ねえところでワヤ」
「なんです?」
「人間界の未解決問題、ミレニアム問題とかあらかた解いたからさ、人間界降り立って公表してちやほやされに行っていい?」
「ダメに決まってるでしょう!!!!!!!??????」
やっぱ駄神かも…
――あとがき――
緩く、深い話を…
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