年が明けたら
ツヨシ
第1話
子供がいた。
男の子、女の子、女の子だ。
そして三人とも狙ったわけでもないのに、十二月三十一日に生まれた。
そしてある年の十二月三十一日。
長男が五歳、長女が三歳、次女が一歳の誕生日を祝ったあと、年が明けた。
「明けましておめでとう」
俺と妻、そして祖母。
寝ている子供たちを見ながら、三人で新年のあいさつをした。
すると昨日五歳になったばかりの長男が、突然苦しみ始めた。
「どうした」
顔色が尋常ではない。
慌てて救急車を呼び病院に行ったが、長男は帰らぬ人となった。
その二年後の十二月三十一日。
五歳の長女と三歳の次女の誕生日を祝った後、一月一日になった。
「明けましておめでとう」
二年前に長男が死んだ日。
めでたいとは言えないが、一応そう言う。
すると長女が苦しみ始めた。
――またか!
急いで病院に行ったが、長女はそのまま息を引き取った。
そして二年後の十二月三十一日。
次女の後妻の誕生日を一応祝ったが、俺も妻も祖母も気が気でなかった。
もうすぐ一月一日になるのだ。
長男と長女が死んだ日だ。
それも二人とも五歳で。
いくら気に病んでいても時間は止まらない。
そのうちに年が明けた。
俺も妻も祖母も新年のあいさつなどすることなく、黙って次女をじっと見ていた。
すると祖母が高らかに言った。
「もう大丈夫」
そう言うと祖母は笑い、そのまま横になった。
だがなんだか様子がおかしい。
よく見てみると、祖母は死んでいた。
あれから数年経つが、次女は今でも元気に生きている。
終
年が明けたら ツヨシ @kunkunkonkon
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