第8話

十七歳のころの渉は、恐ろしく、素直で理解がよく、わけを話すと、すんなり受け入れた。

渉たちは、すぐに打ち解け

「でさ、二十七歳の頃に、武田さんていう女性を好きになって、ミスターヒッチハイクの『あなたが好きです』っていうCD、そのまま送んの」

「ふーん、で、どーなるの?」

「ふられたよ。あっさり。他に好きな人がいますって」

「うわー、未来のぼく、ダッセー」

と、そこにラジオから、ミスターヒッチハイクの『リプレイ』という曲が流れ出した。

「あ、これこれ、ちょっとギター貸して!」

渉は、ラジオに合わせて『リプレイ』を熱唱した。きまった!と思った。

十七歳の渉は、あこがれの目で見ている。

「ぼくも、これ練習するよ!」

「ああ」

そうして、渉は未来へ帰った。

現在は、何も変わってないで、男だけが、そこに突っ立っている。

「じゃあ、おれもそろそろ未来へ帰るか」

「楽しかったよ!ありがとう!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る