第5話

しかし、どうしても気になることがあり、渉は、男に質問をした。

「その奥さんとは、どこで知り合うの?」

すると、男はうれしそうな顔をして答えた。

「例えばの話よ。優しくて、不思議で、きれいな誰かの微笑み、て言えば、誰かピンとくる?」

渉は、よくわからなかった。思い当たる節など、全くない。

すると、そこに電話がかかってきた。

「渉?今、何してるの?」

母親からだった。

「ちゃんとしたもの食べてるの?インスタントものばかり、食べてるんじゃないでしょうね!

理世さんは?三ヶ月前に出ていったって、言ってたけど」

あまりに嫌な質問をされたので、渉は

「しょうがねえだろ。うるさいなー、もー」

と言ったが、母親は、結婚しろだの何だのと言うと、それだけ言って電話を切った。

「お前も、大変だね」

「余計なお世話です」

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