知らない場所
てこてこてこてこ砂浜歩き。聞き耳立ててお声を聞くよ。
人間さんがいっぱいいるから誰か一人位
歩く砂浜はちょっぴし熱くて、日陰を探して頑張って歩く。あ~あ、
暫く歩くと大きな木の実を天辺に付けた背高のっぽな木を発見、
「よいしょ。知らない木さん。ちょっぴし根本で休憩させてね」
知らない木さんに挨拶すると、サワサワ葉っぱが揺れて挨拶を返してくれたよ。良かったぁ木さんには僕の言葉がわかるみたい。
根本に背中を預けていると、何だか知らない木さんは頭の天辺をゆらゆら揺すっているのが見えた。
何してるんだろう?
そう思ってじ~って見てたら……、うっきゃあ!?木の実が落っこちて来た!この知らない木さんてば根っ子の隠れ場所が無くって慌てて裏っ側に逃げたよね。そしたらドスン!!って音と一緒に地響きがして僕ってばお胸がドキドキしちゃう。
上を見上げると知らない木さんは揺れるのを止めていて、安心して音のした方をこっそり覗いてみる。
うん。木の実が落ちてる。
僕が知ってる木の実の何倍も何倍も大きな木の実。僕コロポックル。木の実大好き。目の前に知らない木さんがくれた大きな知らない木の実。何だかとってもワクワク♪してきちゃった。
「おっきいねぇ」
木の実に近寄って僕より大きい木の実をペタペタ触る。とってもお硬い。
コンコンココン♪リズムを付けて木の実を叩く。うわぁ!お手々が痛くなっちゃった!これじゃぁ中身は食べられないや。
そう思って溜め息一つ。そんでもって諦めて人間さんを見ると、この大きな硬い木の実をくり抜いてるのを見つけちゃった!お道具を使って開けてる!でも人間さん用のお道具は僕には大き過ぎて使えない気しかしないぃ……。ガックシしょぼん。
項垂れていたら知らない木さんがまた揺れ始めてる。今度は慌てず騒がず木の実を注意して見てるよ。そしたらやっぱり落ちて来たよね!直ぐにピュンって裏側に隠れちゃう。そしたらさっきと違って今度はガパン!!って硬い物同士がぶつかる音と、何かが割れた様な音。そろりと覗いてみたら……。
ふわぁ!木の実が割れたよ!凄い凄い!
「ありがとう!知らない木さん!」
お礼を言ったら知らない木さんはサワサワ揺れて「どういたしまして」って伝えてくれたよ。
ほくほく笑顔で木の実の割れた所を覗く。そしたら中が空洞でビックリしちゃった!代わりにお水が入ってる。塩水で喉がカラカラ痛かったから嬉しいよね。
出来た縁に手を掛けてゆっくり傾ける。縁にお口を付けてゴクリと飲んだお水は……。
「甘~い!」
甘いお水なんて初めて飲んだ!果物のジュースよりは甘くないけど、それが返ってさっぱりしてて美味しいぃっ!感動でプルプル震えちゃう!
夢中で飲んだらお腹ポッコリ大満足♪
「ぷは~。ありがとう知らない木さん」
もう一度お礼を言って休憩する。
「知らない木さん、僕のお家知らない?」
見上げて問えば知らない木さんはサワリと揺れて申し訳なさそう。そうか~知らないか~。
今日はお家に帰れなさそう。何処かでお風呂か、せめて水浴びとお洗濯出来る場所探さないとね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます