迷子のコロポックルさん

蒼穹月

はじまりは

 ぽくぽくぽくぽくコロポックル♪

 僕は小さなコロポックル♪お名前はひいらぎだよ。髪の毛がツンツン尖っててお目々が赤いから柊なんだって。柊ってなんだろう?パパミチは偶然通りかかった人間さんが運んでたのを見たって言ってたけど、僕はまだ一度も見た事ないんだ。


 「ううん……。お家を探してたらいつか見れるかなぁ」


 僕ってば今とっても困った迷子さん。此処が何処なのかさっぱりわからないんだ。

 幸い人間さんとは言葉が同じだからお話聞けたら帰れるかな?

 

 そう思ってた事は一瞬だった。


 「**!***……」


 なん?

 今の言葉だった?

 目の前で男の人間さんと女の人間さんがお話してるけど……。なんて言ってるのかさっぱりわからない!僕ってば知らない世界に来ちゃったのかなぁ!?


 ええ……。ちょっと此処に来るまでの事を思い出してみよう。

 今日も元気に日課の木の実探しにお家を出たよね。でもママハポに今日は大きな嵐が起こる気配するって言われてて……。でも僕ってば直ぐ帰るからって、昨日見つけて取っておいた木の実の所に行ったんだ。

 それで両手でしっかり抱えて直ぐ帰るぞって来た道見たら……、熊さん居てビックリしたよね!僕「ぴゃっ!」ってなって直ぐに近くの木の上に登って避難したんだ。いなくなるまで待つしかなくて、でもいなくなったら風がビュービュー強く吹き始めてて、木の高い所にいた僕はその風に体ごと攫われちゃって……。

 気が付いたら砂浜で寝てたんだ。


 「身体もビッショリだから早くお家帰りたいんだけどなぁ」


 持ってた木の実も無くしちゃうし、ママハポの言う通り今日は出かけない方が良かったんだね。

 僕はガックシ肩を落として俯いた。

 幸い砂浜は人間さんが管理してるらしくって直ぐに会えたんだけど、言葉がわからないっていうね。


 さてどうしよう?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る