操り人形
猫の集会
人の心
人間とは、愚かなものだ。
簡単に人の言葉を信じ落ち込んだり喜んだ
りしてしまうのだから。
私の名前は、鈴木 町子。
なんて平凡な名前…
もっと華やかな名前つけてほしかったな。
小学生の頃クラスに四人組の女子がいた。
美人でそのグループのリーダー的存在
梨花絵 りかえ。
気の強い
麻理香 まりか
かわいい雰囲気の
美紗理 みさり
人にとにかく合わせる
由乃 ゆの
私は、この四人集団がうとましかった。
なのにその集団をよく目で追ってしまう自
分がいた。
休み時間、よくその四人集団は固まって話
をしている。
キャピキャピうるさい。
あれがこうでそれがこうで…
マジー‼︎
なんてとにかくうるさい…
私は、休み時間トイレに行ったらとりあえ
ずぼーっとしている。
いちいち少しの休み時間にわざわざ友達と
話すなんて面倒。
座っていると自然と四人の話が耳に入って
くる。
麻理香がとにかくよく喋っている。
なんだか梨花絵に気に入られたいみたいな
感じが会話から伝わる。
その麻理香のおだてる様子に気分をよくし
て、気持ちよく話す梨花絵。
それに合わせるように美紗理と由乃がうな
ずく。
なんだ?この集団…
私からすれば仲がいいようには見えない。
でも、とにかくいつも一緒だ。
それが不思議でたまらない。
美紗理と由乃は、気が合うみたいで本当は
二人でいた方が気が楽なんじゃないかと思
う。
でも、それは私が勝手に思っているだけの
事で本当の事は、わからない。
ある日遠足の班決めが行われた。
三人グループになってくださいと、先生か
ら指示があった。
三人⁉︎
あのグループどうなるんだろう⁇
少しワクワクした自分がいた。
梨花絵と麻理香は、表情ひとつ変えない。
でも、美紗理と由乃の表情はこわばってい
た。
どうなる⁇どうなる⁇
そして一斉に班に分かれる。
私は、よく一人でいるさよりちゃんに声を
かけた。
さよりちゃんは、快く受け入れてくれた。
あーよかった。
で、あの四人は…
興味津々で見入った。
まだ決まらないのか⁈
ん?どうなるんだ?
もう、ドラマを見ているかのようなハラハ
ラ感。
すると、麻理香が指示を仰ぐかのように
「どうする?梨花絵?」
と聞いた。
多分麻理香の中では美紗理か由乃がどこか
の班に行けばいいと思っているのだろう。
すると由乃がこちらをみた。
そして、
「私、ほかの班に行くよ」
由乃がそう口を開いた。
「えっ、いいの?」
美紗理がホッとした表情で聞いた。
「うん」
そしてこちらに近づいてくる由乃。
「班に入れてもらってもいい?」
⁉︎ ⁉︎ ⁉︎
驚いた。
まさか由乃と同じ班になるなんて。
すかさず私は、さよりちゃんに
「いい?」
と聞いた。
「うん」
小さくうなずくさよりちゃん。
「よろしくね」
泣きそうな顔の由乃に笑顔で答えた。
哀れみの心を込めて。
「うん!よろしく」
私の笑顔に一気に顔がほころぶ由乃。
いつもグループでいる由乃は、嫌いだ。
でも、単体の由乃は嫌いじゃない。
そして遠足も無事終了した。
休み時間やっぱりあのグループは、四人で 固まっておしゃべりしていた。
ある日、梨花絵が風邪で学校を休んだ。
いつもの四人集団じゃないと少しおとなし
くみえる。
すると麻理香が口を開いた。
「なんかさ、梨花絵っていっつも偉そうじゃ
ない⁉︎」
「うんうん!私もそう思う‼︎」
美紗理が大きくうなずきながら答えた。
すると、由乃も
「わかるー‼︎」
と言い出した。
マジか⁉︎
三人は、梨花絵の話をしながらトイレに行
ってしまった。
あーあ、もっと聞きたかったー。
残念〜。
梨花絵は、たった一日休んだだけなのに大
きく人生が変わろうとしていた。
次の日学校にきた梨花絵。
すると三人グループが梨花絵から避けるよ
うにトイレに行ってしまった。
うわ…
クラス中の空気が一気に重くなった。
そして、梨花絵は一人になった。
でも、梨花絵は一人でも全然平気そうな様
子にみえた。
強い…
そして梨花絵は、しばらくすると別の友達
と仲良くなっていた。
三人になったあのグループは、麻理香がど
うやらリーダーになったみたいだ。
麻理香は、嬉しそうだ。
でも、その様子がなんだか私には腹立たし
かった。
しばらく三人は一緒にいたのだけれど、い
つのまにか今度は麻理香が一人になってい
た。
なんとなく心でざまぁとつぶやいた。
そしていつの日か美紗理と由乃も別の人と
行動するようになった。
あのグループは、完全にみんなバラバラに
なった。
おしまい。
操り人形 猫の集会 @2066-
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