第31話 ある日突然、特攻する事もある。

 テーテレッテー♪︎テテーテー♪︎

 テーマ曲と共にマンションの車寄せに横付けされる。先に車を降りて華怜、美弥子の順に手を取りエスコートする。

 東雲家のマンションからミニスカメイドのショートカットの子が迎えに出て来た。僕の前に来ると深く頭を下げて大きく開いた胸元が露わになる。おっと!!こちらも生!!以前は気が付かなかったが上もかよ!と1人で盛り上がっていると、左右からギュッと腕を締め付けられる。

 「お待ちしておりました坂本様。ご案内させて頂きます。」初めて新しい苗字で呼ばれてドキドキした。名字でドキドキしただけだからね。


 「ありがとう。」短く答えるとメイドさんの後に続いて歩く。

 エレベーターに乗るとメイドさんが振り返り、ポケットからゴソゴソと何か取り出す。そしてそれを掌に乗せて僕に見せる。

 「これが私の部屋の窓辺にありました。同じ様に旦那様と奥様のお部屋にもあったようです。」ショートカットのメイドさんは少し震えながら話してくれた。履いてなくて寒いって言うわけではなさそう。


 「あなたはこちらに住み込みで働いているんですか?」怖がらせないようになるべく優しい声で話し掛ける。


 「はい、アキちゃんは通いですが、私は使用人用のお部屋をお借りして住まわせて頂いております。」もう1人の子はアキちゃんと言うらしい。という事はアキちゃんの家にも行ってあげないとかな?い、いや別に下心とかないからね!?


 「では、あなたのお部屋も後で見せて頂きます。すぐに終わらせますので安心してください。」本当に下心とか一切全く全然殆どありませんからね?


 「ありがとうございます。あ、あの、私はミキと申します。どうぞよろしくお願いします。」僕に向かって深々とお辞儀をする。今度は両手を口元でギュッと組んでたので見えなかったけど、別に全然残念とか思ってないけどね。


 両腕に凄い締め付け感を感じるけど気が付かなかったことにしよう。



 エレベーターの扉が開き最上階のフロアに降り立つ。

 

 玄関の前には見た事がない、ロング丈のメイド服を着たメイドさんが迎えてくれた。

 「お待ちしておりました、こちらへどうぞ。」胸元のガードもガード性能5ガード強化3ぐらいのガード力を感じさせた。


 「先生、何度も何度も本当にすみません。華怜ちゃんもまた来てくれてありがとうね。」

 玄関を開けると大二郎さんが待ち構えていた。申し訳なさそうな顔で深々と頭を下げている。大二郎さんも和服の胸元が開いていて覗き放題だ。気持ち左右からのプレッシャーが弱まった。


 「先生、これがうちで見つかった折り鶴です。」大二郎さんは掌の上に3個の折り鶴を乗せていた。

 「私と深雪さんの寝室、私の書斎、後はリビングの窓辺にありました。」大二郎さんがそれぞれの折り鶴を指差しながら、どこの部屋にあったのか説明してくれた。折り鶴はやはり焦げていて、文字がビッシリと書き綴られていた。


 「では、早速なんですけど始めましょうか。」僕はそう言うと、マンションの間取りを見せてもらい、実際に各部屋を巡り、各部屋の構造を頭に叩き込んだ。



 そして、大体中心に位置するリビングに立ち、間取り図を見ながら各部屋の構造を頭に思い浮かべる。折り鶴を発見した場所にはやはり陰りが見える。それを意識しながら部屋の構造に意識を集中していく。


 段々光が強くなり。その光が弾けて元の明るさに戻っていく。そして目を開けると部屋全体も少し光って見える。よし、成功したみたい。


 「これで大丈夫だと思います。」僕は自信を持ってそう言った。そして隣にいる大二郎さんの掌の上にある折り鶴からも文字が消えていた。


 「おおぉぉ!!ありがとうございます!!流石は先生です!!」目の前で呪いの文字が消えたのが衝撃的だったのか、大二郎さんが興奮気味に声を上げる。


 そして部屋の隅に立っていたセクシーメイドのミキちゃんも僕の方を見て眼をうるうるとさせている。あれ?なんかフラグが立つ音が……。


 そして両腕にガシッとマシュマロが飛び付いてくる。「永遠様、力を補充いたしませんと。」華怜がそう言うと美弥子も一緒になってギュウギュウ密着してくる。そしてそれと同時に温かい力の波が流れ込んでくる。


 まだまだ力的には余裕だけど、この状態が心地良いから良いかぁ。僕の頭がぽやぽやとしてくる。






坂本永遠35歳。今日も僕は幸せです。

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