第2章『最底辺なクラスで唯一の男子』
第10話『朝のお世話』
朝、今日からいよいよ俺の高校生活が始まる。
真新しい制服を着込んでいざ準備完了、朝食を食べに下へ降りる。
「おはよう母さん、芽美」
「おはよう恵斗」
「兄さんおはようございます」
そしていつものハグをして席に着く、夜はいつも仕事の帰りが遅くなる母さんの代わりに姉さんか芽美が用意してくれるが、朝は必ず母さんが用意してくれる。
「恵斗もいよいよ高校生ね、入学式は必ず観に行くからね」
「ありがとう母さん」
「お母さん、芽美も一緒に行っていいですか?」
「芽美昨日から学校始まったでしょ、ダメに決まってるじゃない」
「むぅ~……」
納得いかずむくれる芽美、まぁこればかりは仕方ない。
「ところで姉さんは?」
「あぁ、今日は早くから準備があるからもう出たわよ」
いつもは居るはずの姉さんがいない、去年もこの日は早くから登校してたので入学式関連だろう。
「今日は入学式だからいつもよりゆっくりだけど、いつ頃出るの?」
「まれちゃん迎えに行こうと思うから食べたらもう出るよ」
「そ、希華ちゃんによろしくね」
「兄さんに迎えに来てもらえる希華姉さん羨ましいです」
「彼氏だし大好きだからね」
「あらあら、ごちそうさま」
朝食を終えて家を出る、まずは話した通りまれちゃんの家へ向かおう。
といっても1分もしないうちにすぐに到着、本当にご近所さんなのだ。
ベルを押して出てくるのを待つ。
「あら、おはよう恵斗くん」
「おはようございます早苗さん」
出迎えてくれたのは彼女の母である早苗さん。まれちゃんと同じくプラチナブロンドの髪で少しウェーブがかかっている。
子供の頃から家族ぐるみで仲良くさせてもらっているが相変わらず綺麗な人だ。まれちゃんが大人になったら早苗さんのようになるだろう。
「ごめんね、希華はまだいつもの感じで……」
「あぁ、はい察しました」
家に上がらせてもらい2階へと向かう、部屋の扉には札に『まれか』と書いてある。何度も通った彼女の部屋だ。
「まれちゃん入るよ~」
「ふにゃぁ~……」
「あ~、やっぱり」
小さなわんこの絵が描かれたワインレッド風のパジャマを着て、長いバナナのクッションを抱いた彼女はぐっすりと眠っている。
多分無駄だと思うけどとりあえずは起こしてみよう。
「まれちゃん~、朝だよ起きて~」
「えへへ~けーくんだめだよ~」
「まぁ、だめでしょうね」
肩を揺するがまるで起きることなく、幸せそうな顔をして寝言を言っている。俺の名前が出たが俺が夢の中にいるのだろうか。
「はい、着替えるよ、ばんざーい」
「ふにゃぁ~」
目は全く開いておらず、今も夢の中だが何故か指示通りまれちゃんの身体は動く。
上を脱ぐと露になる彼女の大きなおっぱい。
……前に着替えをした時より大きくなってないか?
1年前は理奈が『健康診断でCだったよ』と漏らしていたが(その後理奈はまれちゃんに怒られてた)これE寄りのDぐらいあるんじゃ……?
成長期とはいえ女の子のおっぱいってそんな急成長するのか?
彼女のタンスからブラを取る、ピンク色のデザインで彼女にとても似合っているがやはり以前に着替えをしたときよりサイズがデカくなってる気がする。
触って確認でもしたいが今は止めよう、絶対に朝から歯止めが利かなくなる。
ブラをつけ、シャツを着てもらいブレザーを羽織る。下も長めの靴下を履きスカートを着用、着替え完了だ。
何故俺がまれちゃんの着替えを行っている尚且つ手馴れているかというと理由は簡単でよくやっているからだ。
朝の弱いまれちゃんは基本的に覚醒するまでは何も手付かず、普段ならぎりぎり間に合うくらいで準備できるのだが、今日みたいな入学式や何かイベント事があると遅刻するわけにもいかないので俺が手伝いに来る。
ちなみにこのまれちゃんの朝の着替えに慣れてない頃だったが軽く暴走しかけたことがある。
生で見る大好きな彼女の裸体、まれちゃんは胸もお尻も良い感じ、美しくすらっとした太ももで欲情するには充分すぎるスタイルなのだ。
いくら生まれ変わりとはいえ現在の精神年齢は高校生、年相応に性欲がある俺はそんなまれちゃんを前にして興奮するのは当たり前のことだ。
そして着替えに時間がかかった俺を心配したのか、早苗さんが部屋にやってきた時俺はまれちゃんの身体をちょっとだけ(当社比)堪能していたのを見られてしまう、その時の早苗さんは『あ……っ』と口に手を当て何も言わずに去っていった。
後に俺は『殺してくれぇーーっ!!』と発狂して死にたくなったのを覚えている、それ以来俺は鋼の意思でこの着替えをしているのだ。
余談だが大声を出そうが起きやしないまれちゃんは、俺が普段着替えさせてるのを知っているがこの件については一切知らない、早苗さんに土下座して頼んで内緒にしてもらってるから俺はこの件を絶対に墓までもっていくと誓っている。
鏡台まで連れ髪を軽くブラッシングする。まれちゃんは髪のコンディションがとても良いので簡単だ。
ちなみに何故指示通り起き上がり椅子に座ることが出来るのに目が覚めないのかは俺もまれちゃんも早苗さんもわかってない。
まれちゃんは普段から化粧は薄っすらとしかしてないが何かしら女性なりのケアはあるだろう、さすがにそこまでは俺はわからないので俺が出来るのはここまで、これならあと数分で起きるだろうから俺は先に下に降りる。
下に降りると早苗さんがコーヒーを用意してくれてて有難く頂戴する。
それから数十分後だろうか、階段を下りる音が聞こえた。
「けーくんおはよう~」
「おはようまれちゃん」
ニコニコしながらぎゅっと抱き着く、完全に目が覚めたいつもの可愛いまれちゃんだ。
「希華おはよう、早く朝ごはん食べちゃいなさい」
「はーい、ママもおはよう~」
椅子に座るまれちゃん、朝食と言っても彼女は朝はあんまり食べないのでトースト1枚とバナナくらいだ。
「あなたも今日から高校生なのにもう少し朝頑張れないのかしら」
「えへへ~、むり~」
「まったくもう……」
ニコニコとトーストを食べながらまるで改善する気がないまれちゃん、そんな彼女を見て早苗さんは額に手を当てる。
「でもまれちゃん、前と違って通学に時間掛かるし少し頑張ったほうがいいかもよ」
「ん~、けーくんが言うならそうしないとかな……」
「しばらくは前みたいに来るから、一緒に頑張ろう?」
「えへ~、けーくんが来てくれるならがんばれるよっ」
早苗さんには即答で無理といったにも関わらず俺が言うと即意思を変えた彼女を見て早苗さんはまた大きくため息を吐いた。
「恵斗くん、あまり希華を甘やかさないでいいのよ?」
「まれちゃん大好きなんでつい……」
「えへへ~、わたしも大好きだよけーくん!」
早苗さんは3度目のため息を吐く『だめだこりゃ』と思ってるのがわかるくらいに呆れていた。
母親の前でも変わらずにまれちゃんといつものような甘い感じで高校生としての初日の朝を過ごすのだった。
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