【 さよならガルル 】


 この静かな山の中に、大きな銃声が響き渡った……。


「やったぁーっ! 命中したぞ!」


 ハンターが叫んだ。


「うぉぉーーっ!! 何をしてくれるんだぁーーっ!!」


 僕は石の階段を駆け下りて、ガルルの元へと走る。


 倒れたガルルを見ると、月夜にはっきりとその姿を確認できた。

 倒れているのは『トラ』だ。 まだ成長途中の幼いホワイト・タイガーだ。


「ガルル、しっかりしろ! 今、助けてやるからな!」


 しかし、ガルルの息はもう今にも途絶えそうだ。

 彼女の口からは、白い息が弱々しく吐き出される。


「ガルル、タクボーだよ……。死なないでおくれ……」


 すると、ガルルの表情が一瞬、険しい表情から安らぎの表情へと変わるのが分かった。


「グルル……、グルル……。グル……」


 僕に何か言いたそうにしたまま、彼女は瞳から大粒の涙を流した。

 その涙が、黄色や赤に染まったこの枯れ葉の絨毯の上に、ポロリと落ちた。


 それと同時に、ゆっくりと彼女は目を閉じて行った……。


「ガルル、ガルル……。ガルルーーーーッ!!」



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