【 変身 】


 それから毎日、ガルルはやってくるようになった。

 そして、僕の隣にピッタリとくっついて、子猫のように甘えてくるような仕草も見せるようになった。


 でも、夕方になるといつもガルルは、どこかへと慌てて行ってしまう。

 そんな日々が続いていたある日、夕方にガルルがどこかへ帰ろうとした時に、彼女の腕を掴んだ。


「ガルル、今日は帰らないで欲しい。今日は僕の家に泊まってくれないか?」

「タクボー……、ありがとう。嬉しいけど、ダメなの……」


「何がダメなんだい?」

「タクボーが悲しむから……」


「僕が悲しむ……? それはどういうこと?」

「……」


 彼女は黙り込んでしまった。

 そして、徐々に日が落ち始める。

 辺りは少しずつ、暗闇へと包まれてゆく。


 縁側から入って来ていた日の光も、もう消えかかっている。

 ガルルは、僕の手を振り解こうとする。


 でも、今日は離したくない。


「ダメ、タクボー……。もう日が落ちるから……」


 部屋の中へ入って来ていた日の光が完全に消えた頃、ガルルの様子がおかしくなった。


「グルル……」

「ど、どうしたんだい……? ガルル……」


 するとガルルの白い肌が徐々に暗闇の中で変化してゆく。

 全身、毛が生え始めてきた。そして、僕が驚き彼女の腕を離すと、ガルルは体を丸くしてうなっている。


「グルル……。見ないで、タクボー……。お願いだから、見ないで……」


「ガルル……?」



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