【 色白の少女 】


 その後、僕は彼女を自分の家まで連れて行き、その汚れている体を見て、まず温かいシャワーを浴びさせることにした。

 でも、なぜだか、彼女は僕の家のものをキョロキョロと物珍しげに見ている。

 僕がシャワーを出して温度を確かめていると、彼女は少しおびえた様子だった。


 彼女は見た目14、5歳くらいに見える。


「ここをひねったら、お湯が出るから。石鹸はこれね」


 そう言って、僕はお風呂場から出て行く。


 しばらくすると、なぜか彼女の驚いたような声が聞こえてきた。

 見に行こうとしたが、さすがに女の子の裸を見るわけにはいかないので、耳だけお風呂場の方へと向ける。

 すると、その声はやがて聞こえなくなり、シャワーの音だけが響いていた。


 彼女がお風呂へ入っている間に、囲炉裏の間いろりのまで温かいスープを作る。

 丁度出来上がった頃に、シャワーの音が聞こえなくなった。


 僕は、彼女の裸を見ないように、脱衣所にバスタオルと大きめのシャツとトランクスをそっと置く。


「君の服汚れてるから、とりあえずこれ着てて」

 


 ――そして、脱衣所から出てきた彼女を見た時、初めて彼女の肌が白いことに気付いた。

 頬がピンク色に染まり、ボサボサだった長い黒髪も、湯気を放ちながら綺麗なストレートになっている。

 丈の少しだけ長いシャツの下からは、彼女の綺麗な白い足がのぞく。


「あっ、あったかいスープを作ったから食べる……?」


 すると、そのスープのいい香りに彼女のお腹からまた『グルル』と聞こえてきた。


 囲炉裏の前にペシャンと座ると、僕が鍋からよそって渡した温かいスープを見て、また鼻をヒクヒクさせる。

 器を彼女に渡すと、彼女はそれを床になぜか置いた。


 そして、彼女はおもむろに四つん這いになりながら、床に置いた器に向かってペロペロと舌をゆっくりと動かし始める。

 初めはその温度に驚いている様子だったが、徐々に慣れてきたのか、舌をペロペロと出す速度も上がる。

 その光景は、まるで犬か猫のよう。


 この時の僕には、彼女の正体が何かだなんて、想像すらしなかった……。



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