【 第八話: 小鳥さんが死んだから 】


 私は、夜になると、大好きだった夫を、大きなスーツケースの中へ体を折り曲げながら押し込んだ。

 そして、このマンションの中庭にある、柿の木の下に大きな穴を掘って埋めた……。



 (1羽の小鳥さんが死んだの)


 (パパが1羽じゃかわいそうだって、オスとメス1羽ずつ、せっかく2羽買ってきてくれたのに)


 (その内のオスの小鳥さんが死んじゃった)


 (私は、その死んだオスの小鳥さんをお庭にうめて、おはかを作ったの)


 (そうしたら、鳥かごに残されたもう一羽のメスの小鳥さんが泣いていたので、かわいそうだから、お外ににがしてあげたの……)



 そして、残されたもう一人の女性は、虫の息だったけど、まだ生きて泣いていたので、私はその女性をマンションの窓の外に逃がしてあげたの。



「さあ、あなたはもう自由よ」



 その小鳥さんは、手足を広げ、窓から元気よく飛び立って行ったの……。



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