1000文字以下短編集

麻木 若葉

NO.1 来世に続く空の道


 ねえ、来世ってあると思う?




 君がいつも言っていた口癖だ。そのたびに僕は決まった言葉を言う。


“そんなこと言う前に、勉強を頑張りなさい。”


 僕はオカルトは信じない。来世なんてもってのほかだと思う。

 いつかは誰しも死が来る。不老不死なんて御伽噺のお話だ。

 死んだ後にに生を受けるなんて、それは地獄と一緒ではないのか。

 生まれたら、死ぬ。それを永遠と繰り返す。

 そんなの苦しいだけではないのか。


 それでも君は、僕に来世の事を語っていた。

 小さな子が、自分の夢を語るように。自分の夢がかなうと信じている努力家のように。


 きっと来世は美しいって

 来世は天国のような場所って


 いつも同じように語っていた。



 来世なんて言葉はウソつきだ。

 少なからず、生まれ変われる保証なんてない。

 死んだら終わり、壊れたらおしまい。

 小さな子でも分かること。

 それでも、いつか訪れる永遠の別れなんてきっと突然なこと。


 行ってらっしゃいを言ったらただいまが。

 お休みって言ったらおはようが。

 またねって言ったら久しぶりが。


 必ず訪れる保証なんてない。

 そんな魔法の言葉なんてあるはずがない。

 でも、あったらいいなって思ってしまう。





 そんな事を言っていた君はもういない。


 きっと素晴らしい来世に行けたのだろう



 だってあんなにも綺麗な笑顔なんだから。

 今日もこんなにいい天気なんだから。



 来世

 生物が一生を終えた先にあるもの。



 そしたら、僕はどこに行くのだろうか。



 生きとし生けるものたちが、自然界の摂理によって産まれた者たちに来世があるのならば、自然の法則から外されて生まれてきたものはどこに行くのだろうか。


 人のため、世のためと使命を背負わされながら生まれてきた僕たちが、時代の流れにより捨てられた僕たちが。


 きっと来世というものがあるならば、僕はここで、僕をやめよう。


 人の手により作られた物が、人の手により作られた妄想に縋る。

 なんて滑稽なものだろう。


 何のために生まれて、何を目的として作られたか、何を信じるべきか。

 結局は分からないままだったけれど。


 こんなにもいい天気なのだから


 僕は来世を少しだけ信じてみようと思う。


 きっと天道が見えるはずだから。

 君が信じてたものを僕も信じてみるよ。



 <来世を信じる子どもと、それに影響された家庭用ロボット>



{後書き}

 何なんすかねこれ

 取り敢えずテーマ募集中です。

 こんな感じのお話が読みたいなっていうのがあったらコメントでぜひ。

 もうちょっとコミカルなお話を書きたいです。

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