第13話
地下の大広間を後にし、階段を上に行けば行くほど、空気が明らかに違っていた。ヘルハウンドの発していた、地下に充満していた生臭い臭いは欠片もない。歩みは少々鈍いものの、番頭は誤魔化すでも、時間を稼ぐでもなく、ただ淡々と先導を続けている。
誰も言葉を発しない重苦しい空気の中、突き当たりに行き着く。置かれているのは、重たげな扉が一枚。そして扉を前にすれば、甘ったるい香りに通路が満たされていることに嫌でも気が付く。
「この先か。早く開けろ」
ほぼ喋らずに口数少なく先導する番頭が、やはり黙って扉を開けていく。時折見せる苦痛の顔は、怪我のせいなのか、この状況を受け入れたくないのか。表情は、隠されたままだ。
軋んだ音と共に開かれる扉は、異様に重々しい。素材だけの問題ではないだろう。魔力の痕跡が、明らかにそこかしこに散らばっている。魔術的なロックが、扉には掛けられていたということだ。迂闊に手を出せば、手痛い反撃を負いかねない。
そんな厳重に封じられた扉を、番頭に正規手段で開けさせる。強引に破ることも可能ではあるのだが、正規のルートで開けられるのならば、その方が早い。それに、余計な消耗も抑えられる。
「どうぞ」
扉が解き放たれ、甘くむせかえるような香りが鼻をつく。
重く封じられた扉の先は、大きな部屋となっていた。煌びやかさはあまりなく、作業場のような、舞台裏のような部屋である。女たちではなく、男の、従業員達の待機部屋。そんな類の部屋なのだろう。
一歩足を踏み込めば、甘ったるい香りに混じり、獣のような雄臭さが部屋のそこかしこから感じられる。良い香りとは言い難いが、先ほどまで感じていた魔獣の生臭さ、それに比べればどうということもない臭いだ。
「なるほど。確かに、そういう所、らしいな」
部屋に足を踏み入れてから、アザレアの様子も暗い。むしろ、怯えている、と言った方が良いのかもしれない表情だ。この空間の持つ空気が、彼女にとっては一種のトラウマだと考えれば、これもある意味では当然の反応ではあるか。
周囲を確認しながら、更に部屋へと足を踏み入れていく。流石に従業員の男たちもアルバートたちに気がつき、部屋の空気も不穏な物へと変わり始める。
「どうしたんですか、ジュリアスさん。外が騒がしいと思ったら、こんな連中を連れてきて」
それなりに、腕に自信はあるのだろう。ただ事ではないと感づき、警戒した言動にはなりつつある。その腕っ節にしても、ただの力自慢ではない。取り囲む男たちからは、魔力反応が少しはある。魔術武官崩れや冒険者崩れが、店の用心棒をやっているのだろう。
「番頭さん、コイツら、やっちまって良いんですよねぇ」
これ見よがしに関節を慣らし、武器を構える男たちだが、動きが悪い。やるのならば、問答無用で、既に襲いかかっていて然るべきだ。所詮は、魔術武官としてまともに軍にも入れず、冒険者として野に生きることもできない、半端者たちの集まりなのである。
覚悟がそれなりなら、実力もそれなり。多少は腕が立つ者も居るのだろうが、全体の質は悪い。これならば、時計台で相手をした連中の方が遥かに厄介だろう。圧倒するだけの個も、連携するだけの群もない。頭らしき者はいるが、指揮をする気配もなかった。
「止めろ、お前たち。無理だ」
暴れ出そうとする男たちを、番頭が流石に止めるが、制止の声も今更遅い。逸る男たちは、既に剣を抜き放っているのだ。闘争の為に、武器を抜いた。その動きを止めるには、血を流すより他はない。今更言葉で場を収めるには、番頭では圧が足りないだろう。
無造作に振るわれる男の一太刀を、腰の動きだけで軽く避ける。斬り返す余裕もいくらでもあるが、まだ抜かず見極めたかった。
「こんなものか」
男たちの剣筋は、驚くほど荒い。魔力も籠もっているのだが、ただそれだけだ。魔力の練り込みが甘く、軽く視線をやるだけでも、魔力光には粗が見て取れる。剣での攻め手が雑だからといって、魔術による攻撃術式が仕掛けられている気配もない。男たちの取っている戦法は、ただ力任せに魔力を使い、切りつけているだけなのだ。
アルバートの口から溜息が漏れそうになる。これでは話にならにない。そもそも、魔術云々を抜きにした剣術の腕にしたところで、荒い剣筋を考えれば高が知れている。
弱い。
気分が、一気に沈んでいく。少しは、骨がある相手と戦えるかもしれない。そんな望みは露と消えた。この連中は、戦う者達ではない。強くあろうとする層から零れた、そんな弱者が、より弱い者達に混じり、その上で群れているだけだ。
戦力分析は、もう十分だった。収めていた剣を、抜き放つ。返し技、カウンターとしての、抜刀、抜き打ち。一人目、剣を腕ごと叩き切る。そのまま切っ先を返し、二人目。手首を払い、無力化する。
「先輩、こっちは大丈夫です」
三人目に、切っ先を突きつける。それで、終わりだった。ゲイリーが始末した分も合わせて、無力化したのは四名。流石に、実力差を思い知らせるには十分だろう。話を聞かせる、その為の威圧もできた。
「止めろ。止めろと言っている。この男たちは、地下のヘルハウンドを斬り殺した。お前達の勝てる相手ではない」
番頭の言葉でも、この状況ならば意味がある。淡々とした暗い語り口だが、事態の重大さを認識させるには丁度良い。言葉にならない呻き声を上げながら、男たちが後ろに下がっていく。決着、制圧には十分だろう。
「武器を捨てて大人しくしろ。無駄な抵抗をしないなら、治療はしてやる」
切っ先を、再び向ける。最早、それだけで十分だった。金属音を立て、武具が床に落とされる。流石は闇娼館が雇用主だ。金だけは、あるのだろう。どれもこれも、見てくれは立派なものだ。そう、質は良いのだが、使い込んだ形跡は全く見受けられない。実戦はおろか、鍛錬もろくにしていない証拠だ。武具には可哀想な話だが、押収して売り払うには好都合ともいえる。
「おい、これで全員か」
「はい。ここに居る者達で、全員です」
男たちを一カ所に集め、番頭に確認させる。嘘をついている様子はないが、警戒を怠るつもりもない。的の真只中、油断をして良いような場所ではないのだ。
「ゲイリー、拘束を」
「了解です」
魔術的拘束具を使い、武装解除した男たちを一人ずつ拘束していく。相手が一般人であれば、それこそただの縄や、魔術だけの拘束でも問題はない。だが今の相手は、腐っても魔力を持ち、運用できる術を持つ者たちだ。念には念を、徹底的に、やり過ぎなくらいでも、やる。それが、アルバートの、亜人保護管理局でのやり方だ。
「さて、洗いざらい案内して貰うぞ。此方には、アザレアもいる。誤魔化しや隠し事をしても意味はない。それは、心得ておけ」
「ええ、わかっておりますとも」
虚脱感さえある番頭の様子は、ある種の混乱、恐慌状態に近いのだろうか。未だに正気には戻おらず、視線が定まらないまま、見まわし続けている。
斬れば血が出る、血生臭い現実の痛み。嫌でも、自他の区別なく、命が儚ないことについて思い知ってしまう根源的恐怖感。それに加えて、自らの属する集団、立場が脅かさせるという社会的恐怖感。その両方を突きつけられた人間は、容易くおかしくなってしまう。
戦場で嫌と言うほど見てきた光景だ。冷静な人材であればあるほど、呑まれた時の変貌は見るに堪えないものがある。
正直に言って、見ていて楽しい物ではない、忌々しい戦場の記憶ですらある。だが、見慣れていたからこそ、違和感にも気付いた。この男は、まだ堕ち切っていないのではないか。
虚脱感に襲われている。それは間違いなさそうだ。この男から、監視の目を外さない。今は、そう対策するしかないか。
「この先が、女達の控えです」
番頭が素直に指し示す先。確かに、香りと気配が違う。ここまで漂っていた男臭さとは真逆の、甘く、墜ち腐るような空気がそこにはある。
「それでは、改めたさせてもらう。アザレアも、構わないな」
「はい、大丈夫です。お、お願いします」
アザレアの表情は、固い。当然だろう。此処はトラウマの元凶、巣窟である。それでも、無論直視はしていないが、彼女の眼光には力が籠っている。強い意思があるのなら、それで良い。アザレアにも、確かめたいことが、成したいことがあるのだ。
再び、重々しい扉を番頭が開け放つ。この扉も魔術的なロックが掛けられてはいたが、手引きがあれば、やはり障害になどなり得ない。内通者の居る砦のようなものだった。
「これは、予想以上の、だな」
「ええ、全く。酷い有様です」
ゲイリーとの状況確認は、淡々とした会話になる。ゲイリーすら殊勝になるほどの、惨状。ある種の傲慢な人間にとってみれば、まさに夢、酒池肉林のような光景がそこには広がっていた。
「思っていた以上に、多いな。数も、種類も」
「ええ。ダークエルフまでいるのは、本当に驚きですよ。何でもアリですね、これは」
大部屋、というべきだろう。待機部屋らしき部屋には、十余名ほどの女たちが虚ろな目をして佇んでいる。彼女らが皆、虚ろな瞳なのは、精神的な理由だけではあるまい。恐らく、何らかの魔術的要因もあるのだろう。アザレアという脱走者が出た以上、少々の無茶はありそうな話だ。
分かっていたようなものだが、此処にいる女は全員が亜人だった。数もそうだが、種族も多い。ヴァンプにラミアにウェアウルフやハーピィ、まるで亜人の見本市だ。簡単に一人ずつ確認していくが、その中でアルバートは違和感を覚えた。この中にはサキュバスはいない。
「アザレア」
「はい」
「女の居る部屋は、此処だけか?」
「いえ。狭いですけど、個室が、あります。此処に居るのは、今日の出勤者だけです」
仕事にローテーションを敷いている。これは女達の心身を労る、そんな優しさからではなく、資産運用の側面が大きいだろう。亜人は人間よりも頑丈とはいえ、そう容易く補充は効かない。商品を大切に使うのなら、そうなるのだろう。そもそもからして、この場それ自体が違法なのだ。そこでの優しさなど、欺瞞にすらなるまい。
「成る程な。他には、何かあるのか」
「あとは、男の相手をする部屋が。その他には、その」
娼館である以上、当然存在するであろう仕事部屋。そしてアザレアが言い淀むのは、脱出に使った抜け道周りのことか。恐らく従業員用の出口、或いは緊急用の非常口。そのどれかで、鍵を閉め忘れた愚か者でも居たのだろう。その辺りは、魔獣の居た通路も含めて、施設をシラミに潰せば分かる。今は先に、女達の状況だ。
「仕事部屋はまあ後でいい。先に、個室の方を案内して貰おうか」
個室も仕事部屋も、どうせろくでもない有様だろう。亜人だからと、痛めつけるような客も少なくはないはずだ。繰り広げられる惨状は見たくもないし、見なくても分かる。だが、これも仕事だ。見ないわけにもいかない。
「アザレア、もう一度だけ聞く。本当に大丈夫か」
「私は、大丈夫です。お願いします」
「無理なときはすぐに言え。その方が邪魔にならない。良いな」
「はい」
アザレアの顔色は、正直に言って悪い。震えも多少は、隠せない程度に出ているか。正対できなくとも分かる、瞳に宿る意思の光。それは消えてはいない。その光があれば、十分だ。彼女が意思を固めている以上、行かせない選択肢はアルバートにはない。
大部屋の奥にある小さな通路。幾つかの並んだ金属的な扉。案内された個室は、個室と言うよりも独房に近いか。そんな感想を、恐らく誰しもが得るだろう。しかも個室といいながら、明らかに二人で一部屋を使っている。やはりここは、独房だ。少なくとも、亜人の事を考えて作られた住まいなどでは決してない。
違法に扱われている亜人が、極めて悲惨な状況下に置かれてしまう。それは、当然と言えば当然の話ではある。だが、だからと言って、酷い有様を見るというのは、やはり気分が良いものではない。
「皆、酷い表情だな」
アルバートの言葉に、番頭は眉一つ動かさない。亜人に対する情がないのは、職務としては正しいだろう。だが、アルバート個人としては、好きにはなれない反応だ。
「健康状態に、問題はありませんが」
「かも知れないな。だが、そういう話ではない」
番頭も別に嘘は言っていないだろう。彼女たちは商品、それも高級品だ。商品価値の大部分を占める肉体的には、問題などあるはずがない。精神の、心の話だ。
仕事中、男を取らせている間だけ、明るく振る舞えればそれでいい。そんな勝手な都合の下に、どれだけの魔術的な手段と薬学的な手段が使われたのか。それを考えるのはアルバートの領分ではないが、それでも推し量れるものはある。この惨状を考えれば、アザレアの精神状況など、奇跡のようなものだろう。
アザレアが逃げ出したからこそ、残された彼女たちへの精神的枷が厳しくなったと思えば、果たして亜人保護管理局は寸前の所で間に合ったのか、間に合っていないのか。推測はいくらでも出来るが、今は考えたところでむなしいだけだ。
「個室の部屋は、これで全てか。アザレア、どうだ」
アザレアからの、返事はない。顔面蒼白のまま、小さく震えてしまっている。答えは、それで十分か。既に、此処には居ない。嫌な話だが、これも当然と言えば、当然の結果か。
いかに商品価値のある亜人と言っても、限度という物がある。如何に狂った、違法な社会構造とはいえは、或いはだからこそ。秩序を乱す者には厳しくなる。
「ゲイリー、アザレアを連れて他を調べろ。どうせ、客を取る部屋もの調査もある。他にも色々と、隠されていないとも言えん」
「そうですね、了解です。先輩は」
「俺は、この番頭と従業員の部屋を漁る。聞きたいこともあるからな」
「分かりました。それじゃあ、行こうか、アザちゃん」
小さく、無意識に溜息がでる。侵入経路さえ確保出来てしまえば、後は乗り込んでくるクレハの後続部隊に任せても問題はないだろう。番頭が正気に戻る前に、魔術的な拘束をしてしまう。仕事は、一先ずそれで終わりか。この娼館が、どのような組織と繋がっているのか。それを調べるための証拠探しはしなければならないか。手ぶらでクレハに会えば、何を言われるか分かったものではない。
「さて、色々とお前の口から説明して貰うぞ」
捉えた男たちを横目に、従業員たちが使っていた部屋へと番頭を連れ込む。他人に言葉を聞かれない密室を作れば、番頭を椅子に放り投げる。アルバートは向かい合って座り、剣をいつでも抜き放てる構えを取った。
「色々、ですか」
「ああ、そうだ。お前が時間稼ぎをしていることは分かっている」
番頭の視線が、一瞬だけ定まる。
「娼館の主人をを逃がしていることは分かっている」
「それで、何を」
顔色が、僅かに変わる。恐らく平時であれば表情の変化は見せなかったであろう。疲れと不安と恐怖。これが、一瞬の隙を番頭から引き出していた。
「見逃してやる。だから、素直に俺が欲しいものを出せ」
「それは。いや、しかし、貴方に見逃されたところで」
確信はなかった。かまをかけた、と言っても良い。恐らく、逃がしているのはこの主人辺りだろう。ゲイリーが雑談で探りを入れた時も、どうにも所在については要領を得ない返事が多かったのだ。
「包囲の指揮官と、乗り込んでくる軍の部隊には、逃げていることを黙っていてやる。それだけあれば、身を隠してお偉方に賄賂でも何でも使うには十分な時間が取れる」
「賄賂などと」
「今更、惚けるな。俺もこの仕事は初めてじゃあないんだ。踏み込まれた時点での、お前たちの計略通り、それ十分だろう」
呼吸の荒い番頭を見れば見る程、アルバートの気分は不思議と落ち着いていく。賭ける様な気分は、既に抜けきっている。
「……何が、お望みでしょうか」
数秒の無言が空間を包んだ後、番頭が口を開いた。
「アザレアの母親の遺体。後は顧客のリストを渡せ」
番頭が瞳を閉じ、再び数秒ほど黙り込む。
「顧客を売る、というのは」
「信用に関わるか。だが、そうも言っていられんぞ」
「まだ、何かあると」
「踏み込んでくる軍隊は、グロイザス・カンザス大隊長と直属の部隊だ。俺よりも乱暴なやり方で、何もかも奪いつくすだろうし、」
これは、嘘でも予測でもない。クレハから、突入前に聞かされていたことだ。軍の風紀を正す、対抗勢力を削る、弱味を握る、咎人の情報はいくらでも使い道がある。戦のない世でグロイザスが野心を満たすには、この手の情報が必要不可欠だった。そして、グロイザスの名はこの街で良くも悪くも広まっている。
「……分かりました。顧客リストは、貴方にお渡しします」
「アザレアの母親はどうした」
「申し訳ございません」
「ヘルハウンドか」
「そこまで、お気付きでしたか」
アルバートの口から、沈痛の溜息が零れた。これも。大方予測は出来ていたことではある。亜人の死体を秘密裡に処理するのは、人間のそれよりも難しいものだ。未届けの亜人なら、尚更だった。その点、ヘルハウンドならば骨まで喰らい尽くしてしまう。
「遺体がまともに残らない死は、戦地で慣れた。ヘルハウンドからは、アザレアに近い匂いもしていたからな。すぐに分かった」
本当は死臭がしただけだが、今の番頭に正常な判断をするのは不可能だろう。押し通すには、十分だ。
「余計なことをすれば、そんな死が一つ増える。それだけだ」
「分かりました。お約束は、お忘れなきよう」
番頭を断たせ、腕の縄を斬る。腰縄だけとなるが、抵抗する気配は既になかった。娼館の主とこの男との関係は、アルバートの知ったことではない。ただ、何かしらの男の筋を、この番頭は通そうとしているのだろう。
部屋の奥にある、小型の金庫を番頭が開ける。これも、魔術でロックが掛けられている品のようだ。やはり、正解を分かっている人間に開けさせるのが一番安全で早い。
「此方です」
「これか」
受け取った羊皮紙の巻物に軽く目を通し、手早く懐に隠す。
「こんなものか。まあ、格調ある店の裏と思えば、そんなものか」
恐らく、アルバートの給金では、入会資格など得られないのだろう。いや、金以外の条件もつけていた可能性も高い。何せ、利用客からは店の情報がほぼ漏れ出なかったのだ。
「正規軍の踏み込みですが」
「安心しろ。それなりに話は通してやる」
従業員の部屋から出れば、丁度ゲイリーとアザレアが戻ってくる所であった。あちらの方も首尾よく片付いたらしい。そして、アザレアの顔は何処までも暗い。普段から直視はし難い顔だが、今は特に正視するのが辛かった。
「一件落着、か」
再び、アルバートの口から溜息が零れる。どうやった明るい気分にはならない。葉巻でも吸って、虚空に煙を流したくなる。そんな、虚脱感の入り混じる達成感であった。
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